274.量子力学的“集中”と思い込みの力とのちがい「安定感」と「視野の広さ」
著・三松會 占心行動学塾長 脇田尚揮 ■LINE公式アカウント■
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ここで量子力学的“集中”と思い込みとの違いについて考えたいと思います。
前者は、リラックスさせ意識を1点に集中させることにより、量子世界の事象に偏りの変化を与えることだと言えます。一方、後者においては「それ以外にない」と信じ切って心に決めることです。
こう聞くと両者は似ていますが、“精神の安定感”と“視野の広さ”の違いがそこにあると言えます。前者の方が安定していて広く、後者の方が不安定で狭いと考えると分かりやすいかもしれません。思い込みは集中よりも恣意的で脆いものなのです。
もちろん、思い込みにも強い力があります。それが心理学的にも証明された「プラシーボ効果」です。これは別名「偽薬(ぎやく)効果」とも言われ、患者に偽薬を何らかの効果のある薬だと信じ込ませることで、何らかの症状の改善がみられることから名称されています。
この偽薬の投与によって生じる生体的、心理的反応を「プラシーボ反応」といいます。プラシーボ反応には呼吸やホルモンの変化といった身体的なものから、気分の変化といった心理的なものが含まれ、鎮痛治療の実験で証明されています。
1955年にハーバード大学の麻酔学教授ビーチャーは1082人の症例や実験を調査しました。この調査では、手術後の痛み、せき、薬物による気分の変化、狭心症による痛み、頭痛、船酔い、不安と緊張、一般的な風邪に対するプラシーボの投薬によって、症状が回復した人の割合を調査した結果、調査対象となった患者1082名の約35%が症状回復していた、というもの。
思い込みが人の回復力まで引き出すことができたとすれば、それは凄いものですよね。その一方で逆に、何の効果もないはずのものが心身に悪影響を及ぼすという「マイナスプラシーボ(ノシーボ)効果」というものもあります。
身体に悪いものを食べたと思ってしまうと、急にお腹を壊したり気分が悪くなったりします。その例として、夏になると牧草の関係で牛乳の味が変わります。その牛乳を飲んだ時に、腐っていると思い込んでしまい、気分不良になる児童が増え集団食中毒と疑われたところ、実際は違ったといったものです。
このように、思い込みにも“実現(実体)化”という面では量子力学的“集中”とは同じ力があるかもしれません。ところが、思い込みは自分1人「個人」で完結する世界です。周囲の人たちにも多少なりとも影響を与えますが、それは意識の伝播や伝染という効果であり量子力学的“集中”のような祈りや願いとは異なるものです。
思い込みは自分の中だけで完結しているため、他者への影響力は少なくいざ異なる現実に直面したときに“恐れ”へと変わってしまうことが多々あります。量子の世界は個ではなく全体を考えるものであり、その中で理想的な在り方を表出するための意識の向け方を解明するもの。
博打や経営も、この“思い込み”に捉われてしまうと、当然負けが込んでしまうのは言うまでもありません。なぜなら両者とも自分以外の対象が多数存在するためです。思い込みが通用するのは、自分の決めたことや目標を達成するためという「狭い範囲」でのみ、活用するものと考えておいたほうが良いかもしれません。