プログレの祖、ムーディーブルースの名盤「童夢」をひっそりと聴く(レコードジャケットの楽しみ #12)
こんにちは、吉田です。
レコードジャケットを自宅の部屋に飾ってニンマリする連載の12回目です。
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今回は日本ではあまり人気がないムーディー・ブルース(The Moody Blues)というプログレバンドの名盤をご紹介します。
タイトルに「プログレの祖」と書いていますが、勝手に私がそう思っているだけで、通説ではありません。
しかし世に広く知られているプログレバンドより早く1960年代の中期から1970年代に全盛を迎えるプログレッシブロックの取り組みをおこなったバンドであると考えています。
そのムーディーブルースの名盤が、この「every good boy deserves favour(童夢)」です。
幻想的なジャケットイラストで、ムーディーブルースの世界観をそのままに表現しています。
邦題の「童夢」はいいネーミングですよね。
ちなみに、このアルバムは1971年リリースの6枚目ですが、1969年リリースの3rdアルバム「On the Threshold of a Dream」の邦題「幻夢」といい、ムーディーブルースのアルバムはイケてる邦題のものが多数あります。
ムーディーブルースが日本であまり有名でないのには理由が2つあります。ひとつは、アルバムは組曲として構成されているためシングルカットが難しく、商業的には厳しい面があること。
もうひとつは、いい意味でも悪い意味でも優しい音楽なので、もう少しパンチがあるほうが日本では売れたのではないかと思います。
しかし、パンチを利かせるとムーディーブルースではなくなるので仕方がないですね。
さて、最初の1枚が決まったところで、今回の3枚のアルバムジャケットのコンセプトをどうするかを考えましょう。
印象的なこのジャケットにあわせるのは、やはり幻想的なイラストのジャケットにしたいですよね。
出来れば色調も同じ青系にあわせたいところです。
ということで、今回の3枚は「幻想的なイラストで青基調のジャケット」。そして、ムーディーブルースに敬意を表して「隠れたプログレの名盤」で集めてみました。
そこで選んだ2枚目は、ガンダルフ(Gandalf)の「Tale from a Long Forgotten Kingdom」です。
ジャケットデザイン、どうでしょうか?
青基調で幻想的なイラストのジャケットでばっちりでしょう。
このアルバムの邦題は「失われた王国の物語」というのですが、まさしくそのイメージのままのデザインですね。
ガンダルフは芸名ですが、有名なトールキンの小説「ホビットの冒険」や「指輪物語」に出てくる魔術師の名前からとっているんでしょう。
オーストリアのアーティストで、グローバルでは結構有名なようですが、日本での知名度はほとんどないのが不思議で、これまたムーディーブルースっぽいですね。
そして、リリースしているアルバムはなんと30枚以上。スゴイ!
このアルバムの内容も、シンフォニックロックの色合いが濃く、ムーティ―ブルースとのつながりを感じます。
このガンダルフという方は多芸な方で、ひとりでギターやキーボードをはじめ様々な楽器を演奏し、多重録音で楽曲を作っています。
最後の3枚目は、バート・アルカンタラの「Zygoat(ザイゴート組曲」です。
このアルバムジャケットも、ばっちり「幻想的で青基調のイラストのジャケット」ですよね。
このバート・アルカンタラ(Burt Alcantara)というアーティスト、ほとんど情報がありません。
そしてこのアルバム「Zygoat」についても情報がなく、実はこのアルバムを購入した記憶も全くないのが不思議です。
しかし、シンセサイザーを中心とした演奏による完全なプログレで、しかもシングルの寄せ集めではなく組曲形式になっているのもムーディーブルースとのつながりを感じます。
いまどきネットで様々な情報が取れるのですが、このアーティストもアルバムもほとんど情報がありません。
幸いなことにこのアルバムは日本版を購入しているので日本語のライナーノーツが付いているのですが、書かれた方も「1970年代にたまたまこのアルバムの輸入盤を購入したが、詳細は全く不明」と書かれています。
ネット情報によると、原版は1974年にリリースされ、日本版は1983年にリリースされたようですが、それぐらいです。
今回の3枚を並べると、こんな感じです。
どうですか?
ばっちりおんなじテイストでそろっているでしょう!
幻想的で優しくて、そして青基調のイラストなので統一感が半端ないです。
なお、今回の3枚のアルバム、残念ながらSpotifyなどの音楽配信サービスで聴けるのは1枚目のムーディーブルースのアルバムだけです。
本連載は基本的に皆さんに聴いていただけるものを選んでいますが、ジャケットデザインを中心に選ぶとなかなか難しく、今回は1枚だけとなってしまいました。
次回は全て皆さんに聞いていただけるアルバムを選ばせてもらいます。
幻想的なジャケットを眺めながら、幻想的なムーディーブルースの音楽をひっそりと聴きつつ、今回の連載をお送りしました。
ではまた次回に。