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基礎理論26

ここまでで、ようやく蔵象の説明が終わりました。
ここからは気、血、津液についてもっと具体的に説明します。

前提として、気血津液というのは、人体が生命活動をする上での基本物質です。
臓腑、経絡、組織器官が活動するための基礎物質です。

ではそれぞれの違いは何なのか。

まずは気について説明します。

【気】

気は人体内で活動力がとても強く、常に動き続けている物質です。人体を構成し、生命活動を維持しているので、運動が止まることはその人間の死を意味します。

そしてこの人体の気は、先天の精と後天の精が、肺が吸入した自然界の清気と合わさることで生成されます。

先天の精は父母の生殖の精であり、後天の精は飲食物が水穀の精になったものです。

つまり、気の生成に密接に関与する臓腑は腎、脾、肺ということが分かります。

では気はどのように活動しているのでしょうか

気の運動の基本方式は、昇、降、出、入で、これは中医学の試験を受ける場合は基礎理論の部分で問われやすいなあというイメージです。
臓象にて説明したように、例えば肝、脾は昇を主とし、肺、胃は降を主とします。

この四方面への運動が協調されることで、人体の気は正常に運行することができます。

この運動方式が異常になることを気機失調と呼びます。すると、気逆(気が上に上がりすぎること)や気滞(気が局部で停滞してしまうこと)や気陥(気の下降がいきすぎること)や気脱(気が出ていきすぎること)や気閉(気の出ていく作用が弱すぎて体内に閉塞されること)という表現で方剤を選ぶことになります。

では気は実際にどんな効能をもつのか。

1、 推動作用

2、 温養作用

3、 防御作用

4、 固摂作用

主にこの4作用があります。

推動作用とは、、
人体の発育、成長、臓腑の機能亢進、精、血、津液の生成、代謝排泄を促します。

気虚となり、この推動作用が弱まれば、成長発育が遅くなり、生殖効能は衰え、老けやすくなり、各臓腑効能が減退します。
子供の体の成長が遅い場合、この作用に留意することは必要です。

温養作用とは、、
陽を生み熱を作ることで、体の体温を保ち臓腑経絡の活動を維持することです。気虚で温養作用が失調すると、畏寒、四肢の冷え、低体温、そして臓腑効能が減退することで、血と津液の運行は遅くなり、凝滞してしまいます。
凝滞するということは、気血津液の流れが停滞するばかりか、うまく流れていないために痰や瘀血になってしまう可能性がでてくるので、気虚だけでない更なる症状が併発してしまいます。

防御作用とは、、
外邪が人体に侵入するのを防ぐことです。
全然風邪をひかないような人は、気が充実しているということです。もし気虚により防御作用が弱まると、容易に病気にかかり、その後も回復しづらい、という状態になります。
玉屏風散のような方剤は、まさにこの機能を強化するためにあります。

固摂作用とは、、
血、津液、精などをあるべきところから漏れでてしまわないように統制することです。気虚により固摂作用が失調すると、各部の出血、小便失禁、遺精、唾液が垂れる、汗がだらだら出る、などあらゆる症状がでます。
高齢になり夜尿症などに困っている場合、腎陰虚の可能性と更に気の固摂作用の強化を考えるといいでしょう。 

以上、気の具体的な作用についてでした。

次は血についてです。

再见♪

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