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鬼と一緒に(チーズ豆せんべい)|酒と肴 その九十三

ホップ、ステップからのダイバーシティ&インクルージョン。加えてのビロンギングが定着するのは、ウォンビーロングでしょうか。

奈良に都があったのも遥か昔、時代は令和です。追儺ついなと称して鬼と人間を分断するなんて、今はもう流行りません。
人をまとめるために鬼の設定は便利なんでしょうけれど、大概は心に棲む鬼が問題でして、疑心暗鬼とは言い得て妙です。

さて、気安く「鬼は外」なんて言いますが、彼らにも築き上げてきた文化、暮らしがあります。

それなのに、問答無用で追い払われたらどうなるでしょうか。行き場を失った体と心は拠り所を求め埋火となり、燃え広がる時を虎視眈々と待つことになるのです。
追い出した側が安寧かと言えば、そんなことはありません。仕返しの不安にさいなまれ、抗争はどんどんエスカレートするばかり。最終的には血で血を洗う『仁義なき戦い』が繰り広げられるのです。

「やられたらやり返せ、やられる前にやれ」

任侠映画、Vシネマの世界観が続いている2024年。シリーズ3作目が『代理戦争』というタイトルなのは、最近の世相を表していて恐ろしくなります。

安直な考えですが、空腹と寝不足は災いのもとだと思うのです。私なら食べ物と寝床を奪った相手と、意思の疎通なんて出来やしません。気分はもう魔太郎の「コノウラミハラサデオクベキカ」ってやつです。だもんで一緒に食卓についた方が、争いの可能性は少なくなるのです。

そうすると豆はぶつけるよりも、食べる方が吉なのは明らかですよね。具沢山の恵方巻きも捨てがたいですが、あまねく行き渡らせるには、ちょっとお値段が張ります。そもそも「福は内」なんつって、必要以上に掻き集めようとするから、揉め事が生じるのです。

虎の毛皮で出来ていない

こうして作ったのがチーズ豆せんべい。皆がみんな、魚や肉を食べることは出来なくとも、豆なら可能性が広がります。
計らずとも、虎の毛皮を思わせる焼き目は、鬼との会食にぴったりです。大豆をペペロンチーノ風にしましたのでピリ辛な味付け、ビールによく合います。

小さき者たちが、お腹をさすさすしながら、枕を高く眠れる世界。ちょいとのお裾分けと勿体無いの心掛け、そこに相手への気遣いがあれば、実現できるのではないでしょうか。

何だか柄にもないことを言ってしまったので、最後は下世話なことで締めたいと思います。

「目隠し鬼さん、手の鳴る方へ」と「目隠しお兄さん、手の鳴る方へ」って似てますよね。
一音加えるだけで、子供の遊びが大人の遊びになるのでお気に入りです。

では。

メニューと食材
・チーズ豆せんべい(青バタ豆、ニンニク、唐辛子、塩、胡椒、スライスチーズ、粉チーズ、オリーブ油)

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豆千|本と豆料理
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