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酒と肴の記録

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シリーズ「酒と肴」をまとめたものです。日々の暮らしの中で拵えたおつまみと合わせたお酒を紹介しています。信州食材と豆料理への愛が適度に詰まっています。
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#おいしいはたのしい

明日、逮捕されるとしたら(餃子)|酒と肴 その二十二

「備えあれば憂いなし」、昔の人はよく言ったものです。今の時代、何が起こるか分かりません。深酒をした翌朝、「おはよう、昨夜は飲みすぎたみたいだね」とニッコリ微笑むのが家族ではなく、お巡りさんなんてこともあり得る話です。 暮らしている町の図書館は蔵書が充実しており、逮捕された時に役立つ本もあってチョイチョイ読んでいます。もちろん現時点でお縄になる予定はありませんけれど、一寸先は闇のテーマパーク。いざという時に迷子にならないよう、その道の先達から学んでおくことは大切ではないでしょ

同じ穴の狢の集会(鮑のおむすび)|酒と肴 その二十一

関東海なし県の住人なので、山梨と長野には親愛の情を持っています。 海なんて、魚がいなけりゃ単なる塩水、しかもベタつくおまけ付き。ビーチじゃ水着ではしゃいでますけど、あんなん氷河期がくれば死にます。潮騒は言葉の通り、ただただ騒がしいだけのシロモノ。 47都道府県のうち、海がないのは8県のみ。20%に満たない割合です。これを厚生労働省の調査(平成21年)に当てはめれば、年間所得800万円以上の世帯と同じくらいの割合。そう聞くと、海のないことがいいことに思えてきますが、当然私の勘

鬼の念仏(豆とタコのマリネ)|酒と肴 その二十

昨日は節分、豆まきの日でした。 昨年来、話題の尽きない鬼ですが、中高年にとって身近な鬼と言えば鬼平、鬼ひび、鬼ころし。時間の隙間、お腹の隙間、心の隙間を埋めてくれる頼もしい鬼たちです。 いざと言うの時のため、私のリュックには大概どれか二つは入っています。 それにしても「鬼嫁」に代表されるよう、鬼には怖い印象があります。また「鬼は人の心に棲む」なんて恐ろしい言葉も聞きます。 だけどそんなイメージを覆すのが大津絵に登場する鬼たち。去年、東京駅の美術館で展覧会が開催されていま

新春!浮気の虫封じ(野沢菜炒飯)|酒と肴 その十九

何かの手違いらしく、もうすぐ1月が終わるそうです。 歳をとると時間の流れが早くなり、「この前のこと」と振り返ったら5年ぐらい前の話でゾッとしました。酒でも記憶を飛ばしているので、体感的に私の1年は人様の七掛け、年間250日くらいだと思います。 短い分、濃密な時間を過ごしているかと言えばそんな事はなく、自分の顔と同じく薄ぼんやりしています。 そんなぼんやり顔で1月のやり残しを確認したら、初詣に行っていないことに気づきました。毎年、長野の善光寺でお参りしているのですが、今年は