ブルネイ編(後編)-日本のビジネスパーソンは40代に気をつけろ?
こちらのnoteは「mameka記」シリーズになります。
ブルネイ編(前編)の続きになります。
森林ツアーも無事終わり、JとFと見晴らしの良い、川辺で夕食をとることになった。
「この前、資源関係で日本から来た商社マンと一緒に飲んだ。彼らは、すごいな。盛り上がった飲み会中に商談をまとめて、次の日には何食わぬ顔で仕事に入る」
Fは続けた。ピーナッツ風味の焼鳥がとても美味しい。「Jにこれは何?」と聞く。
「しかし、大手企業で駐在に来ている日本のビジネスパーソンとよく話すが、彼らは、40代以降になると、どこか心に空白があるように感じる」
「それが大企業という組織に対する責任から来るものなのか、どうかなのか
はわからない。他国の人から見たらとても異様だ」
「mamekaはグローバルな交友関係をずっと大事にした方がいいよ。僕は日本は素晴らしいと思うけど、日本のビジネスパーソンの弱点は、自ら視野を狭くしてしまうことだと思う。多様な価値観をもつ人と繋がっていれば、折れそうなときに自分を見つめ直すことができる」
なるほど、外から見ると日本のビジネスパーソンはそういう風に映っているのか。
自分には大分先の話だが、一回り上の経験豊富なFの話を覚えておこうと思った。
翌日、散策の最終日となった。Jの職場に近いモールの駐車場で私を降ろしてくれる約束をした。
「それじゃ、僕は今日は仕事だから、16:00にこの駐車場で待ち合わせね」
朝早く着いたものの、やることが見当たらない。wifiも繋がっていないのでこれから何をしようか。
飲食店が開いていたので、そこで朝食を済ませる。店主とは英語が通じなかったが、観光客だと認識してもらい、ブルネイに”有名な猿”がいるから見ておくべきということを教えてもらった。
ただし、行ったからって、必ずしも見れるわけではないということも教えてもらった。
人づてに聞いて、何とか目的地の場所を教えてもらった。バスに乗り目的地に向かったが、スマホも見れず本当に着けるのか不安になった。
目的地に近付いてきたかなと思っていると、ふと昨日あったイギリス人の女の子を見かけたジェスチャーをすると、向こうがこちらに気づいてバスに乗ってきた。
「奇遇ね、私もこれから”有名な猿”を見に行こうと思ってたのよ」
彼女が身の上の話を始めた。
「私は、イギリスで働いてたんだけど、働きすぎて疲れたから今いろんな国を旅行しているの。今まで、60カ国くらい回ったかな。ヨーロッパだといろんな国を回れるの」
「今まで旅行した中で、一番印象に残ったのは、中国のチベットかな。あそこは、とてもエモーショナルよ。日本には行ったことはないけど、いつかは行きたいわね。」
話しながら川辺に着いた。インド系の兄さんがここを仕切っているようだ。
「世界中を回っているから慣れているの。ここは私に任せて」
提示額の1/10でボートに乗ることができた。物価水準から、適正価格を当てる感覚をもっているらしい。日本的な感覚でグローバルの常識に乗り込むと痛い目を見る。
「そういえば、あなた日本人だけど、大丈夫?”karoshi(過労死)”って言葉は、とても有名よ』
(当時は、働き方改革法案が施行される前の話です)
「私からしたら、『人生は楽しむべきものなのに何でそんなに働くの?』って思っちゃうわ」
話しながら、ボートの時間が過ぎようとしており、今回は見れないのかと思っていた。
すると、木々の隙間から”有名な猿”の親子が見えた。よし、自分はここぞという時の運はいいんだと思った。来た甲斐があった。
彼女はフライトの時間が来るからといって、空港行きのバスに乗り込んだ。次はオーストラリアに行くらしい。
ふと気づくと名前が思い出せない。まあ、今後会うこともないしいいだろう。
約束の時間まであと、1時間、そろそろ戻らないといけないと思った。
乗ったバス停をメモしていたので、行き先のバス停に乗った。だが、中々人が集まらないため、出発しないようだ。
車社会のため、タクシーは中々拾えないようだった。
スマホも使えないし、このまま友人と合流できないことに不安を覚えた。
大分時間が経っただろうか。スマホの予備の充電も切れかけ、
不安のピークに達する。すると、人がごそっと入ってきて、出発した。
駐車場からバス停が離れていたので、走って向かった。良かった、見覚えのある車がある。
「mameka、大丈夫だった?」
約束の時間から、10分ほど経過したが、待っていてくれたらしい。Jは冷静に対応していてくれた。
「それじゃ、空港に向かおうか」
帰りには、またいつかブルネイに来ることを約束した。日本にいた時に、語り合った仲なので、
今回の旅でお互いの近況を話したが、特別なことはあまり話さなかった。
Jが元気そうで良かった。
Jは、優秀で、バランス感覚があり内に秘めるものがある。ブルネイに持ち帰ることができるものがないかと日本で必死に勉強していた。
切磋琢磨できる友人だ。コロナが落ち着いたら、また連絡を取り合いたい。
(おわり)