読書「あの戦争は何だったのか」~変わらない日本人の国民性~
太平洋戦争終結から2020年で75年を迎えました。子どもの頃、祖父母から空襲の話を聞き、戦争は二度と起こしてはいけないという考えを植え付けられました。最近、私は太平洋戦争はなぜ起きたのか、どうして空襲が起きたのか何も知らないことに気づきました。そんなことを考えながら書店で目に入ったのが保阪正康さんの「あの戦争は何だったのか 大人のための歴史教科書」です。
私にぴったり!と思って読んだところ、とても勉強になったので今回はアウトプットも兼ねて感想を書きたいと思います。
・戦争を長期化させた原因と現代との類似点
真珠湾攻撃を皮切りに開戦した太平洋戦争ですが、序盤は日本の優勢で進みます。しかしながら、米軍の本格的な攻撃が始まるとミッドウェー海戦での敗戦をはじめ各諸島で負け続け、大きく劣勢となります。著者はこれらの戦いが長く続いたのは無為無策の日本軍幹部が「自己満足」のために戦っていたためと指摘しております。日本軍は陸軍、海軍と別れておりましたが、それぞれが足の引っ張り合いや意地の張り合いから一枚岩になれず、その結果、戦況は泥沼化していったと書かれています。そして「戦争を終える」ということに対して誰も具体的な条件を立てることができなかったことも、戦争が長引いた原因と述べられています。
私は現代の会社においてもこのような状況は見られるなと感じました。「何がどうなったらこのプロジェクトは終わるのか」といった具体的なゴールを決めずに企画をスタートしてしまう。そして道半ばで劣勢となったとき、担当者が意地をはったり責任転嫁に躍起になっている。そんな状況を見受けることがあるからです。
戦争中、日本が何度も負け続けているときも軍局からは「日本優勢」という情報統制が敷かれ、国民も「精神論で勝つ」といったムードが作られました。軍局も国民も客観的に戦争を見ることが出来ていなかったといえます。
こうした失敗から、現代の私たちが学ぶべきことは「客観的に見ること」の重要性だと思います。私たちは仕事において、まわりに流されることなく正しいのか正しくないのか判断する力を身に着けなければなりません。私もその場に染まってしまうとなかなか客観視することは難しいとは思いますが、具体的なゴールに基づいた判断の軸を意識して判断していきたいと思います。
・戦後75年経っても変わらない国民性
本書において終盤には日本人の国民性について面白いことが書かれていました。日本人は終戦直後、アメリカ軍のマッカーサー司令官に対してまったく敵意を表すことなく迎え入れたといいます。これにはアメリカ側も、日本人は”野蛮”といった印象だったのに終戦から2週間程度でここまでガラッと態度が変わるとは!と驚いたそうです。著者は、日本のように敵国に対して掌を返したように好意的になる国民は歴史上でも類がないだろうと書かれています。
また、目標を決めると猪突猛進する日本人の姿は戦時中でも戦後の高度経済成長期でも見られ、日本人の本質は変わっていないと述べています。
私はこのことから日本に対する希望を見出すことが出来ました。最近の新型コロナウイルス対策においても日本人はマスクの着用やソーシャルディスタンスなど自己を犠牲にしてでも、目標に向けて団結して取り組んでいます。そうした努力の成果もあって日本では爆発的な拡大は抑えられています。戦後75年経った今でも国民性というのは変わっていないことに驚くとともに、このような素晴らしい国民性は後代にも引き継いでいく必要があると強く感じました。
・歴史を学ぶこと
本書を読み、現代を生きる私たちと戦時中の軍部や国民の姿を重ねることが出来ました。戦争を二度と繰り返さないこと、戦争で学んだ経験や失敗を現代に生かすことが歴史を学ぶ大きな意味であり、今後も意識して役立たせていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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