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お気に入りの場所です

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僕の心にグサリと刺さってしまった痛くない刃の皆さんです。
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#恋愛

それは"彼女"が座る椅子

それは"彼女"が座る椅子

夜。外は暗い。
会社に残ってるのは俺灰谷と、横の女葉山。
前には、背もたれ付きの椅子がある空いた席。

そこに座っていた、如月アミがいなくなった。

正式に言うと、3日前から来なくなった。
噂によると連絡もつかず黙って辞めたらしい。

そんなような事をする子では無いと思うのだが。
ただ、別に俺も特別話したことがある訳では無い。ご時世で、必要最低限の会話しかしなくなったから。

ただ、愛嬌があって好

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毒の花

毒の花

「あなたは私を愛していますか?」

ここは高級ホテルのスイートの部屋。
彼女は夜景と月明かりを背に、僕に一言尋ねた。

「うん、勿論」

僕は一言、そう答えた。

「なら、この花を受け取ってください」

そう言って彼女は僕の前に一輪の
紫の様な黒のような、不気味な色をした花を出した。

「何、この花」

「私を愛しているなら、受け取ってください」

僕は少し、その花に嫌悪感を抱いた。

「愛してい

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