絵本『ともだちからともだちへ』
先週は非常勤講師をしている大学の後期の最後の授業でした。
私の授業ではお互いの考えを聴くこと、自分の想いを伝えることを大切にしています。
どんどん学びを吸収して成長していく学生さん達に、私もいくつになってもこう有りたいなぁと、彼女達の成長に目を細め、頼もしく思っていました。
私が彼女達に会えるチャンスは15回。そんな限られた時間の中で、私は何を彼女達に伝えることができるか。
授業では絵本を読むことがあります。
当たり前ですが絵本は、小説などに比べて行間があり文字が少ない。絵や場面の解説が少ないので、読み手がそれぞれに自分に当てはめたり、解釈できる。
私はこの『相手に押し付けられる』ではなく『自分で感じることのできる』絵本らしさが、とても読み手のペースや感じ取る力を大切にしているようで、温かく優しくて気に入っているところです。
最終回の授業の絵本は『ともだちからともだちへ』
主人公のクマネズミがカーテンも開けず暗い部屋の中”パジャまんま”で何日もいる場面から始まります。
私もこの“パジャまんま”になることがあります。
特に学生時代や独り暮らしをしている頃。
何だか何もやる気が起こらず。何も予定もなく。
自分だけが孤独だと物悲しくなり。
誰にも必要とされていないような。
誰とも会いたくも話したくもないような。。。
そんな時にクマネズミに宛名のないきれいな紙の手紙が届きます。
その小さなきっかけにクマネズミは変わっていきます。
気持ちが変わる→
行動が変わる→
考え方まで変わっていくと、世界の見え方も変わっていく。
コロナ禍の今だからこそ、人との繋がりや絆が大切だと言われています。
でも”パジャまんま”になってしまうと、どう繋がれば良いのか、思いは巡らず分からなくなってしまいます。
絵本を読む。絵本には空白(行間)があるからこそ、「あの子は元気にしているかな」「mail送ってみようかな」「自分だったらどうするかな」と自分事として実感していくことができる。
学生さん達の今後の人生に私はずっと寄り添っていくことはできない。
でもこの先彼女達の人生、困難を乗り越え幸せに過ごして欲しい!
そんな時に大切なことをこの絵本から感じ取ってくれると嬉しいなぁと、彼女達に読み聞かせる。
最後の最後の感想。
「大学に入ってオンライン授業だったのが、ほとんどが対面授業になったけれど、ここまでわたし達に寄り添って受け止めてくれる先生ははじめてでした」
コロナ禍でなかなか授業や大学に馴染めず、人との繋がりが実感できない中、何とかたくましく頑張ってきた彼女達の様子が伝わって来る。
コロナ禍、人と会う時間が少なくなっている今だからこそ、出会えた時間は大切にしたい。大切な人との対話を重ねる大切な時間に。
きみはすてきなともだちです。
きみとともだちになれて
ほんとうによかったとおもっています。
きみはたいせつなたいせつなともだち。
それをつたえたくて。またね!
またみんなに会える日を楽しみにしています。
どうぞ元気で居て下さい。大切な大切なあなたへ。
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