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インティメート・ボランティア

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親切心ではじめたボランティアが、いつの間にか自分の空虚の穴をうめるものになっていた。
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インティメート・ボランティア 完結編



インティメート・ボランティアの完結編です。全てで23回になります。

インティメート・ボランティア 1はコチラからになります。

親切心ではじめたボランティアが、いつの間にか自分の空虚の穴をうめるものになっていた。最後は、ちょっとした展開を迎えます。

最後だけ有料にさせていただきます。購読していただければ嬉しい限りです。(1770文字)

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インティメート・ボランティア 22

「短い間でしたが、お世話になりました」

深深と下げた頭を上げると、志穂はさっと沙紀の顔を盗み見た。

先ほど、上司の川崎が、志穂の寿退社の説明を同僚にした。志穂の言葉に従順に、お相手は、元テレビ局のプロデューサーで、現在は実業家として活躍されている方だそうです、と紹介した。

志穂は、沙紀の顔が一瞬歪んだのを見逃さなかった。ミーハーな沙紀にとっては、羨ましい相手に聞こえたに違いない。志穂は、見切

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インティメート・ボランティア 15

1週間雨が降り続き、憂鬱な気分で、志穂はミヤケのアパートを訪れた。自分のワンルームのマンションと同じぐらいの広さだが、かなり老朽したアパートで、1階にあるミヤケのドアを叩くとき、ためらうほど気持ちは落ち込んでいた。

仕事と自分の将来についてぼやがかかったように先が見えないでいる。

しかし、2週間ぶりにミヤケの顔を見ると、自分でも驚くほど気が晴れた。天気雨のあと、ぱっと青空が広がるみたいに。

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インティメート・ボランティア 14

今日も志穂は、星野のマンションを訪ねている。このごろは、星野のところで、午後のほとんどをすごし、ときどき夕食も二人で食べるようになっていた。志穂が作ることもあったし、ヘルパーさんが作りおきしてくれているものを温めて食べることもあった。

二人でテレビを並んで見ているときに、志穂は、「星野さんは、セックスはできるの?」と今まで気になったが、遠慮して聞かなかったことを何気ないようすで聞いてみた。

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