
行きつけの街中華で繁盛時に見た信じられない光景を語る
ここ最近覚えた楽しみがあります。
それは、中華屋で相撲を観ることです。
お前相撲なんていつも家や国技館で見てるじゃねえかっていう声が聞こえてきそうです。いや、私の耳にはそのように入ってきていますよ。
これはね、
明確に違うんですよ。
家のリビングで観るのと、国技館で観るのと、そして中華屋で観るのはまるっきり違います。
家だと居住空間ですし、国技館だと非日常の空間です。中華屋はね、どちらでもないんですよ。
一応外の空間ではあるんです。
でも、当然緊張感のある場所ではない。
そこで、ビールと餃子とラーメンがあると、一気に天国です。出前じゃこの味わいは無理なんですよ。
中華屋という空間が、天国にしてくれるんです。

何言ってるかよくわからないっていう人も居ると思うんです。だったらね、これはもう、やってみてくれとしか言いようがないです。
休みの日の夕方に、中華屋の小さいテレビを首上げながら観る。ほろ酔いで、鍋振る音をBGMにして、そして恐らく自分くらいしか大相撲を観ていない中で。
これがいいんですよ。
何故か中華屋って番付表張ってある店が多いし、大相撲期間は基本的にNHK固定です。だから、割と全国津々浦々でこの楽しみ方は出来るはずです。
まぁ、チャンネル変えさせてくれと頼めば民放のニュース付けていても相撲に変えてはもらえると思うんですけどね。
そんな訳で、大相撲中日を私は近所の街中華で迎えました。
大関貴景勝の綱取りがいよいよ厳しくなる中、元大関朝乃山との対戦という痺れる取組が組まれている日でした。
17時過ぎに中華屋に行くと、10席くらいしかない店内は作業着の男性が一人いるだけでした。
それもまたいいじゃないですか。
17時だったらそんなもんです。
ビールと餃子を頼み、相撲見ながら待ちます。
本来だったら「気道の確保!」とか「のどの洗浄!」みたいな「玉袋筋太郎ごっこ」をしたいのですが、この空間でそれをやる度胸はありませんので、ツイッターでこの興奮を伝えるに留まりました。
関脇が全員敗れるという波乱の展開。
多少餃子が来るのは遅かったけど、その前につまみとして柿ピーが小皿に出てきているので何の問題もありません。
楽しい相撲に美味しいビールと餃子。
相撲も飯も進むわけです。
さて、そろそろ2本目にしようか、餃子だけ頼むか。
残りの餃子が2個になったのでふとそんなことを考え、さぁどうしようかと厨房を見たところですよ。
客は2人なんですけど、戦場なんですよ。
理由は、この店やけに出前注文が多いんです。
ひっきりなしに電話が掛かってきましてね、注文が来るたびにカウンターに皿が置かれるんですね。
これはこの店独自のシステムなんですけど、要は今どれだけ注文が入ったか?ということがカウンター見れば一目瞭然なんですよ。
ということで、私はカウンターに目をやったわけです。高齢の夫婦と50代の息子で経営している店ですから、無理は出来ないですしね。
カウンター、皿だらけなんですよ。
この中華屋が美味いのは2年前に引っ越した私でもすぐに分かりました。食べログなんて殆ど投稿している人なんていないのに、地元の人って分かっているんです。
相撲は白熱している。
ビールも餃子もほぼ無い。
追加でほしいけど、これは相撲に集中するしかない。
さっきまで柿とピーを2個ずつ放り込んでいたのですが、それを1つにして、それでもまだ忙しそうなのでピーを半分に割って。
そうやって時間稼ぎしながら観ていたんですね。
相変わらずカウンターにはおびただしい量の皿が載っています。
そして調理場では80超えた夫妻がテキパキと一つずつ作っています。
すると。
電話が鳴りました。
出前の注文です。
息子はもう出前に行っているので、二人しかいないんです。
最初はあれ、電話だ。
くらいにしか思わず、相撲にまた目をやったんですけど、ずっと鳴ってるんですよ。
流石におかしいなと思いながら厨房見たらですね。
普通に二人とも調理してるんですよ。
電話ガン無視してるんです。
反応すらしないんですよ。
すげえな
こんな対応あるんか
ってもう笑い止まらんのですよ。
貴景勝負けて横綱厳しくなって、本当だったら結構ショック受けるんですけど、電話取らないこの店のハードコアスタイルの方が勝っちゃいましてね。
で、まだ皿がカウンターに残ってるんですけど、3分に1回くらい電話かかってくるんですよ。マジでここ、消防署じゃねえの?ってくらいの感じですよね。
でも、出ないんです。
普通出て、そのうえですみません今立て込んでまして、だいぶ後になっちゃいますけどみたいな対応になると思うんです。
それしないんですよ。
でも確かにね。
電話出て謝るのと、出ないのは結局のところ対応同じなんですよ。
どちらにしても今は作れないってだけじゃないですか。だったら出ない方が作業が中断しなくて済む。
すげえ合理的なんですよ。
にしてもね、我が国はカスハラが横行してもなおおもてなしの心とか人情とか色々と店に伝統的に求める国でありながらですよ、この街中華は伝統的にもてなさないことを社是としてここまで生きながらえてきている。
別に接客が悪いとか、全くそんなことは無くて。
むしろ愛想はいいんですよ。
でね。
一つ思い出したことがあるんですよ。
この店ね、営業しているのに暖簾外に出していない時があるんです。
それをおばちゃんに尋ねたことがあって。
やってるのに暖簾出さないんですか?
って。
そしたら。
忙しい時は出さない時もあるんですけど、常連さんは知ってるから入ってくるんですよ
ですって。
千葉某所にはハードコアスタイルの街中華があるんです。どこか知りたい方が居たらこっそりご連絡ください。

■イベント情報:
12月16日 18:00 大相撲トークライブ (錦糸町すみだ産業会館)
データで振り返る2023年の大相撲を横尾さんと行います。今回のゲストはなかなか面白いですよ。え!?そんな話聞けるの?って方をお呼びしています。
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