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《詩人-批評家》の系譜

詩人で批評家というのは、多いのですが、美術批評家はフランスの象徴主義詩人シャルル・ボードレールをもって嚆矢とするようです(出典: Wikipedia)。ボードレールは二十代から詩を書き始めていますが、最初は美術批評家としてデビューしています。『1845年のサロン』から『1846年のサロン』にかけて、彼はロマン主義の画家ドラクロワを擁護した文章を書きます。『1845年のサロン』から引用してみます。

M. Delacroix a envoyé cette année quatre tableaux :
1° LA MADELEINE DANS LE DÉSERT
C’est une tête de femme renversée dans un cadre très étroit. À droite dans le haut, un petit bout de ciel ou de rocher — quelque chose de bleu ; — la bouche est molle et languissante, les cheveux épars. Nul, à moins de la voir, ne peut imaginer ce que l’artiste a mis de poésie intime, mystérieuse et romantique dans cette simple tête.
ドラクロワ氏から今年は4枚のタブローが送られてきた。
1、「砂漠のマデライン」
狭い枠の中で女性の頭を逆さにしている。頂上の右には、空か岩の小さな欠片ーー何か青いものーー口は柔らかくのびのびとしていて、髪の毛は散りばめられている。この単純な頭の中に画家が込めた、親密で神秘的でロマンティックなポエジーは、それを見ない限り、誰にも想像できないだろう。

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ウージェーヌ・ドラクロワ「砂漠のマデライン」

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