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学振の思い出を振り返る
気付けば9月も末となりました。
この季節になると未だに思い出すのが、学振の結果。
私は3回応募しましたが、全て落ちてしまいました。
大きな挫折感を抱きましたが、今となっては良き(?)思い出。
今回の記事では、学振という仕組みを紹介すると共に、自分の反省を振り返ってみたいと思います。
学振とは?
学振は、正式には日本学術振興会の「特別研究員制度」と呼ばれるものになります。
特別研究員制度にも色々とありますが、今回は博士課程ないし博士卒業後の若手を対象にしたPD・DC2・DC1という制度に焦点をあてたいと思います。
ちなみに、日本学術振興会によるホームページには詳しい記載があり、「制度の概要」には、以下のような説明が掲載されています。
「特別研究員」制度は優れた若手研究者に、その研究生活の初期において、自由な発想のもとに主体的に研究課題等を選びながら研究に専念する機会を与えることにより、我が国の学術研究の将来を担う創造性に富んだ研究者の養成・確保に資することを目的として、大学院博士課程在学者及び大学院博士課程修了者等で、優れた研究能力を有し、大学その他の研究機関で研究に専念することを希望する者を「特別研究員」に採用し、研究奨励金を支給する制度です。(※1)
PDとDCの違い
上述したように、学振にはPDとDC2、DC1という分類があります。
まず、DC1, DC2から見ていきましょう。
DC1は、基本的に修士課程の2年生の4~5月の段階で申請します。
一方、DC2は、博士課程に進学後の博士課程1年生もしくは2年生が、4~5月に申請する制度になっています。
合否は申請から約半年後に発表され、採択されると、翌年度の4月から研究奨励金として月額20万円、それとは別に研究費として年間最大150万円の給付をいただけます。
つまり、DC1に採択されると博士課程の3年間、DC2に採択されると最大2年間、こうした金銭的補助が得られることとなります。
お金の心配をあまりしなくてよくなるうえに、自由に使える研究費までいただけるということで、博士課程の学生にとって、DC1ないしDC2を取得することは、一つの大きな目標になります。
次に、PDに関しては、博士課程最終年度の4~5月に申請します。
もし採択となった場合、博士課程修了後の4月から研究奨励金と研究費をいただけることになります。
金額がDCとは少し異なり、研究奨励金が月額362000円、研究費が年間最大150万円給付される制度になります。
また、PDに関しては、原則博士課程に在籍していた大学とは異なる環境で研究を実施することが条件となります。博士課程修了後も研究を続けられるということで、こちらも多くの学生が出願する制度になります。
学振の結果と反省
私は、修士課程2年生の時にDC1、博士2年の時にDC2、博士3年生の際にPDに出願しました。しかし、冒頭にも書きましたが、いずれも落ちました。
学振では落ちた人に対しても、落ちた人の中でどれくらいのランクだったかを教えてくれるシステムがあります。上位20%だったらA、上位21~50%だったらB、それ以下であればCといった結果が得られます。
確か、DC1はC判定(つまり、上位50%にも入れなかった)、DC2とPDはA判定(落ちた人の中では上位20%だった)と記憶しています。
DC1申請時は、ほとんど業績もなく、申請書の出来もよくなかったため、仕方ないと諦めることができていました。しかし、DC2やPD申請時は、そこそこ業績もあり申請書も入念に作ったため、非常に悔しい思いをしました。
さて、今振り返ると、きちんと学内のブラッシュアップ制度を利用しておけばよかったな、という大きな反省があります。
実際に研究者となってみて、学振全落ちの私でも、ありがたいことに科研費の「研究スタート支援」に採択していただきました。
もちろん、採択率も異なりますし、もしかすると評価基準も異なるかもしれないのですが、提出にあたって学内のブラッシュアップ制度を利用したことが、採択の大きな要因だったのではないかと思っています(実際、非常に多くの指摘をしていただき、真っ赤になって返ってきました)。
こうしたバックアップ制度は、多くの大学で整っていると思います。
特に、私のように申請書類を書くのを苦手とされている方は、制度を利用して、提出書類を少しでも磨くといいかもしれません。
※1: 日本学術振興会ホームページ参照