キューバ人に聞いた、ストレス解消の秘訣
料理に使う油がない! 店に行っても品切れ。朝から晩まで並んで2日目にようやく手に入った。
モノ不足が深刻なキューバでは、こんなことが起こり得ます。
こうした日常はさぞかしストレス源になるだろうなあ。それでなくても、人との関係や仕事で、うまくいかないことだってあるはず。
しかし、キューバの人たちは笑顔が明るい。冗談もよく言うし(おかげで笑いすぎておなかがいたくなったことが何度か)、街かどで、海沿いの通りで、なんとも楽しそうに過ごしている人たちによく出くわします。
不思議に思って、「日ごろのうっぷんとか、たまらないの?」とキューバ人に聞いたことがあります。
すると「あるある!でも、朝起きて虫のいどころが悪くても、職場行くまでになおっちゃう」
と、あるキューバ人が教えてくれました。え、どうして?
職場に着くまでに5人と話す
「職場に着くまでに5人くらいと話すから、なんでイライラしていたのか、忘れるんだよね」
「日本は宅配ピザとかあるでしょ? キューバはそんな便利じゃないから、みんな、いちいち外に出ていろいろ用事を済まさないといけない。それで近所の人と顔を合わせて話すから、すっきりするんじゃないかな」
この話を聞いたのは、もう10年ほど前のことです。それを聞いて、心から納得したものの、「キューバ人はジョークが好きで面白いから、たくさん笑って発散しているのかな」と、解釈していました。
私がこのことの意味を改めて実感したのはコロナ禍になって、外出する機会が減ってからです。
不要不急のおしゃべりタイムを日常に
自粛期間が始まって、仕事の打ち合わせがオンラインになると「用件のみ」のやりとりは、時間もとられないし、すっきりしていいなと最初は思っていました。
ところが少し経つと、ひとりでいる時間が増えて、心がどんより。実は相手に限らず、軽口をたたいたり、よもやま話をしたり、冗談をいったり、「不要不急のおしゃべりタイム」は、気分が軽くなるきっかけだったのだなあと気づいたのです。
最近は、家族や近しい友人、あとは音声SNS、"Clubhouse"の雑談ルームなどで、「好きなお菓子」といったいわゆる「むだ話」をしたり、ほほえましいエピソードを聞いて「ふふふ」とにやついたりしたときに、心が「くもり」から「晴れ」に変わったりします。
To Doリストにはわざわざ書かない「雑談」が、実は日常の要となる項目だったと気づく、今日このごろです。