見出し画像

㊸もう一人のAkikoさん

画像2

(テームズ河)

夫のロンドン転勤が決まった時に、真っ先に思いついたのは
大学院で学ぶこと、でした。

実は、進学に関しては、家庭の事情も絡んでいて、後悔のてんこ盛りで、
社会人になってからも
かなり長い間、自分の道を歩いていない感じがぬぐえませんでした。

日本にいる間は、結婚しても仕事を続けていましたし、
ドラスティックに環境を変える思い切りがつきませんでしたが、
ロンドンに行ってしまえば、生活から人間関係からそれこそ一気に変わることになるわけですし、
迷うことなく、集中して学びの場に身を置こうと決めました。

画像3

(応用言語学コースのクラスメート達と修士卒業式にて)


9月の新学期が始まる前に、論文準備コースがあり、
Akikoさんとはそこで出会いました。

彼女は大学を卒業してすぐ留学の為にロンドン入りし、
既に40を過ぎていた私とは、実に、年齢差20を超える同級生でした。

日本で留学に向けてきちんと準備してきていて
快活で利発で論理的な思考回路を持つ彼女には
修士課程中、ずいぶん助けていただきました。

画像4

彼女は歴史学、私は欧州文化と応用言語学を専攻していましたので
情報交換しやすく、
よく大英図書館やロンドン大学内の図書館、もしくは
カフェやパブで一緒にリーディングしました。

画像1

欧州人の友人達を交えて、
ハイドパークで行われたクラッシックカ―・フェスティバルなどのイベントを見に行ったり、
週末、夫の車でマーローなどにドライブに出かけたり、
文字通り学友であり、戦友でした。

卒業後は、時々、SNSで連絡を取り合うお付き合いでしたが、
ご縁というのは不思議なもので、
数年前から彼女に私の仕事のネット環境とアドミ系の仕事を手伝っていただいています。

エンジニアである旦那様も頼もしいブレーン。

ロンドンから日本に帰国して就職、社会経験を経て、結婚して妻となり母となり、
更に器の大きくなった彼女と10数年後こうして仕事ができるのは
感慨深いという以外のなにものでもありません。

年代が違っても、共有した体験、記憶の中の景色があると
こういう関係が築けるのだと、感謝の気持ちでいっぱいです。

画像5

昇華しきれない後悔というものも、時にはそれが起爆剤となり、
紆余曲折を経て、後に大小様々な「素敵な果実」をもたらしてくれるものだと
自分の不器用だった20代を、前向きに結論付けて(笑)そう思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?