㉓NICOLAS ハーブ・マイスター No.6 理想と現実
Q. 株式会社である以上、企業の掲げる使命を明確にし、
確約した使命を実現していく必要があります。
志と経営との狭間で考えることも色々あると思います。
起業後のエピソードをいくつか聞かせていただけますか?
A.
経営者としてマーケティングをし
需要があるものを調査し提供していくフレキシブルな思考を持っていなければ、と思っています。
一つのものにこだわるのは職人の考え方です。
売れないものは潔くあきらめる。
顧客が欲しがっているものを提供することが重要です。
例えば、私はスパイスをブレンドして作るチャイについては個人的に強い思い入れがあります。
材料をその時の気分で選び、つくる過程から楽しみます。
そこで、以前、素材を組み合わせて自分でブレンドできるマイ・チャイセットを商品化しました。
ところがチャイを作るのに30分かかるもので、まったく売れませんでした。
再検討し、予めブレンドされた小瓶をシリーズ化したのですが、
これには期待以上の反応があり、ベストセラーに生まれ変わりました。
販売促進のため、
スパイスの見極め方、効果的な使い方についての講座など、
イベントも開催しています。
コロナ禍で実現できていませんが、
ハーブが生息している場所を実際に訪れるツアーも企画していました。
百貨店や大手ホテルへ販路を開拓していくと同時に、
自社の独自性を高め、自身の力量を上げるために
ハーバード大学の細胞学、スイス連邦工科大学ローザンヌ校の免疫学、
オランダ・ワーヘニンゲン大学の微量栄養学のディプロマを取得しました。
大都会に住んでいる方々にも本当の植物の恵みを届けるために
厳選した質の良い素材を提供しています。
その自然の恵みを食し、五感を楽しませることによって、
コロナ禍で今旅をするのは難しい状況ですが、
イメージの旅を楽しんでほしいと思っています。
大乗仏教に 唯識 という科学・哲学・宗教の三面をあわせもつ普遍的仏教思想があります。
私達が見ているこの世界は、すべて心の中にあり、
今、この時を「生かされて生きて」います。
蓮の花も泥中に美しい花を咲かせます。
状況を受け入れ自分を磨くことが
この世に生まれてきた意味であると考えています。
スパイスは東西南北、世界中の様々な文化をひとつに結び付け、
時代と経済のグローバル化を進めました。
食の世界だけに留まらない、文化としてのスパイスとハーブの
そのロマンや感動を味わってもらいたい、この世の輝きを再発見してほしい、(Art de réenchanter le monde)
その思いで日々奔走しています。
(とりあえずの、、、Fin)
ニコラについては、またいつか続編をご紹介したいと思っています。
なんといっても彼はまだ30代前半。
文筆家でもある彼がコロナ禍のこの危機を乗り越えて
今後どのように会社の舵取りをしていくのか、、、
心からの応援の気持ちとともに、とりあえずの一区切りとしますね。