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一人称単数、期待しないを思考する

村上春樹さんの短編集ほど、読書会で盛り上がる本ってないかも。

最近、そんなことを思いました📖

以前の私は一人で読んで「?」となっていたけど、誰かの話を聞くと、どんどん面白く感じる。

今日ご紹介するのは、村上春樹さんの『一人称単数』です📖


愛は「燃料」

短編集の本書では、特に「品川猿の告白」が好きです。

ネタバレしないように、印象に残ったこの言葉だけご紹介します。

私は考えるのですが、愛というのは、我々がこうして生き続けていくために欠かすことのできない燃料であります。
その愛はいつか終わるかもしれません。
あるいはうまく結実しないかもしれません。
しかしたとえは消えても、愛がかなわなくても、自分が誰かを愛した、誰かに恋したという記憶をそのまま抱き続けることはできます。
それもまた、我々にとっての貴重な熱源となります。
もしそのような熱源を持たなければ、人の心は――そしてまた猿の心も――酷寒の不毛の荒野となり果ててしまうでしょうその大地には陽光も差さず、安寧という草花も、希望という樹木も育ちはしないでしょう。

「愛」を燃料に例えているこのセリフに、どうしようもなく心惹かれました。

受け取るより、渡し続ける

愛とは?恋との違いは?

皆と話してみて、話を聞いてみて。

色々な考え方があると実感しました。

愛には、パートナー、家族、友情、仕事、色々な対象があって。

私は、いずれも「期待しないもの」というイメージを持っていました。

どこかネガティブな表現だなと思ってたけど、言い換えると「燃料」を燃やし続けることなんだなと思って。

ついつい相手に期待してしまうけど、そうではなくて。

愛は、受け取るより渡し続けることに重点を置きたいなと思いました。

期待される側も期待する側も、どちらもしんどいと思うから。

相手を傷つけたくないけど、傷つけることもある

期待しないについて、もう一つ。

本のタイトルにもある、一人前単数もまた、考えさせられる作品です。

ざっくり説明すると、自分が無意識に誰かを傷つけていることもあるよね、という話。

それは完全に避けることは、きっと難しい。

大切なのは、意図して相手を傷つけたのか、そうでないか、ということでないか?と読書会で話題にあがりました。

どんなに心を尽くしても伝わらないことがあるし、逆にポロっと出た言葉が相手に届くこともあるし。

100%は難しいから、やはり相手に期待しすぎずにいることが大切なのだろうと思ったのです。

人に答えを仰がない状況


期待しないことを考えてきて思ったのは、人に答えを仰がないことにつながるのでは?ということです。

相手の気持ちを100%理解するのは難しいし、自分の気持ちを100%わかってもらうことも難しい。

だから、答は自分は見つけるしかありません。

期待するということは、相手に答えを求めるということでもあるなと。

村上春樹さんの作品を通じて、そんなことを深く考えさせられたのでした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます🍀

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