
映画『SHE SAID』で考える、「伝わる」の意味
自分にしては珍しく、観るべきか迷っていた映画があります。
#MeToo運動 のきっかけになった、告発記事を出すまでの闘いを描いた『SHE SAID』📝
観るのを迷っていた理由は、有名な大物プロデューサーの「セクハラ・性的暴行事件」がテーマだから。
ややHSP気味な自分の場合、作品だと理解していても、暴力的な描写に触れると精神的ダメージが大きくて…
(※そんな心配は必要なかったほど、考慮された作品でした!)
でも諦めきれず、友だちの力を借りて先日観てきました💡
製作陣の「届けたい」が本物
まず、最初にお伝えしたいのは「安心して観て!」ということです。
もし迷っている方がいたら、ぜひ公式さんの投稿をご覧ください🍀
🔻𝗡𝗢𝗧𝗘
— 映画『SHE SAID/シー・セッドその名を暴け』公式 (@SheSaid_JP) January 10, 2023
製作陣とミーガン&ジョディが
話し合いを重ねて定めた本作のガイドライン
☑︎過剰な脚色を避け、可能な限り純粋に現実を描いた
☑︎ハーヴェイ・ワインスタインを映さない
☑︎女性に対する暴行の場面はいっさい描かない
☑︎その代わり、サバイバー自身の声や言葉を使って描写する pic.twitter.com/Z642p5C4V1
観る側を最大限配慮し、かつ製作側の「伝えたい」事実を届けてくれる作品でした。
具体的な描写はなくても、声や言葉だけで十分その重みが届きました。
それだけ、製作陣の皆さんが本気でつくりあげた作品なのだと思います。
「届く」「伝わる」って本当に難しい
この作品は、ニューヨーク・タイムズ紙の2人の記者を中心に、権力者との闘いが描かれています。
取材を通じて、記者たち自身も嫌がらせを受けるなど、精神的な苦痛を与えられていきます。
印象的だったのは、記者のこの言葉。
「何が怖いかって、この記事を出しても、また届かないこと」
実は、この大物プロデューサーの記事の前にも、ある男性権力者の女性へのセクハラ記事を掲載していたニューヨーク・タイムズ紙。
でも、記事掲載後も状況は変わりませんでした。
記事で「伝えたい」と思っても、それを受け取る人たちが見て見ぬフリをしてしまったら、「伝わらない」と同じなんですよね。
受け取る側の心が動いたり、行動につながったりして、初めて「伝わる」なのだと実感しました。
見て見ぬフリをするのは、明日の自分かもしれない
結果的に、この記事から #MeToo運動 が生まれるわけですが、もし起こらなかったら…?
権力者に「逆らってはいけない」という”空気”は、きっと、どの組織でもあります。
見て見ぬフリをするのは、明日の自分かもしれないんですよね。
そう考えると、決して他人事ではない出来事だったのだと痛感します。
タイトル「SHE SAID」の意味とは
最後に、映画タイトル「SHE SAID」の意味について💡
「SHE SAID」 は、目撃者がおらず、両者の言い分が食い違うことを意味する慣用句「He said She said」を連想させる。
ワインスタイン被告も18年5月にレイプや性的暴行などの疑いで逮捕された後、「同意の上だった」などと容疑を否認していた。
こういった事件は、目撃者がいないのが当たり前。
「問題は、性加害者を守る法のシステムにある」
作品でも繰り返し登場するこの言葉は、改めて「SHE SAID」というタイトルの意味を考えさせられます。
これからも、不条理なことは無くならないかもしれません。
でも、そんな世界にも「希望はある」と教えてくれる作品でした。
最後までお読みいただき、ありがとうございます🍀