本が語ること、語らせること
人が薦めてくれる本ほど、世界を広げてくれるものはありません。
この文章を読んで、「本当にその通りだよね」と、思わずつぶきました。
これは、今回ご紹介する本、青木海青子さん『本が語ること、語らせること』の一節です📖
「図書係 山と川」の「山」担当・片山さんのおかげで、出会った本。
奈良県東吉野村で「人文系私設図書館ルチャ・リブロ」をご夫婦で運営する青木海青子のエッセイ集です。
青木さんご夫婦が、本を通じてさまざまなお悩みにヒントを授けていくエピソードなどが紹介されています。
読み進めるたびに、驚くほど自分の人生を振り返ることができました。
そこで今日は、”おすすめ”を通じて出会うことができた大切な2冊をご紹介します💡
「人生終わった」と思った時、逃げ道を教えてくれた
本書で書かれている青木さんの「本に助けられた話」シリーズは、自分にも心当たりがあり、深く共感しました。
まず思い出したのは、大学受験が全然上手くいってなかった高3の冬。
当時の私は、大学受験に失敗しかけていて、18歳にして「私の人生終わった」と確信(今思うと、大げさだけど…)。
そんな時、当時大好きだった人が「この本読んでみたら?」と貸してくれたのが、上橋菜穂子さんの『精霊の守り人』シリーズでした。
上橋さんの世界に一時避難できたおかげで、不思議と現実と向き合うことができたんですよね。
この本を貸してくれた人のおかげで「現実が嫌になったら、本の世界に逃げたらいい」と気付くことができました。
自信がない私に、新しい見方を授けてくれたお守り
次に思い出したのは、「図書係 山と川」の二人に選書してもらった、伊藤亜紗さんの『手の倫理』📖
手で「さわる」「ふれる」を通じて、人との関わり方のかたちを読み解いた本。
私は、病気や障害を持つ当事者に言葉を届ける時、「この表現で大丈夫?」「誰かを傷つけたりしない?」と、いつも不安で…
そんな時、二人のおかげで出会えたこの本は、新しい見方を授けてくれたお守りのような存在です。
病気や障害の有無に関わらず、どんな相手であっても、必ず、自分には見えていない部分がある。
だから、「見えていない部分がある」前提で、敬意を持って相手と向き合える自分でいたいと考えられるようになりました。
仕事でへこんだ日は、だいたいこの本を持ってお風呂に入ります🛁
今も自分が表現するのものに自信は持てないけど、お守りの力を借りながら、死ぬまで仕事と向き合っていきたいなと思います。
本が「窓」となって、私を助けてくれた
最後に、大好きな青木さんの言葉をご紹介します。
「本」という窓から風が吹き込み、まだ見ぬ世界の風景が窺える・・・
この風のおかげで心が解放され、お互いが窓から同じ風景を見ていることに気づくからこそ、ふいに自らを開示できるというようなことが起こるわけです。
そっか、本が新しい世界への「窓」となって自分を助けてくれていたんだなと。
これまで私と出会ってくれた様々な人たちのおかげで、「窓」はどんどん増えていきました。
こうやって、大切な本のことを語りたくなったのもまた、青木さんの本が語りかけてくれたおかげです。
これからも本を通じて自分の知らない「窓」を見つけたいし、その度に、自分のことも誰かのことも、たくさん知っていきたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました🍀