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四世代がつながる七五三
「今は七五三を写真撮影のためだと勘違いしてる人が多いんだから!」
幼い頃からお世話になっている美容室のおばちゃん(Oさん)は、窘めるように言う。
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娘のなぞのご機嫌ポーズを横目で見つつ、七五三の由来を聞かれても即答できそうにないので、慌てて調べる。
そもそも七五三とは
始まりは平安時代。変遷があり、江戸時代には今の形へ。3歳は剃っていた髪を伸ばし始める「髪置きの義」、5歳は初めて袴をはく「袴着の儀」、7歳女の子の「帯解きの儀」。
現代と比べ子どもの死亡率が高く、「7歳までは神のうち(神の子)」として扱われ、7歳になって初めて人として1人前であると認められていたことに由来。成長の節目の年に神様に感謝し、これからも健康を願う行事が七五三である。
だいたい合ってた!と安心し、帰省のメインイベント七五三詣りの準備を進めてもらいます。
結果として、お天気にも恵まれ、沢山の『つながり』を実感できた佳き日。あまたの『つながり』、良かったらお付き合いください。
初めて両家そろってのお祝い
2020年に生まれた娘は2歳半。昨今の状況から両家で集まる機会がなく、七五三で会せたらと何となく願っていた。
お宮参りを夫の実家でしたので、七五三は私の実家で、夫の両親にも来てもらえると嬉しい。そんな希望を今夏に話したところ、両家とも喜んで了承してくれ、お祝いすることになった。やっと皆で顔を合わせられる。
数え年で祝うからこそ、祖母の手作り被布
そもそも、今年七五三をしようとなったのは母の一言がきっかけ。
「被布を着るのは3歳になるまでだから!」
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厳密に守る必要もないのだろうが、3歳を過ぎたら帯らしい。
※地域差もあるようですが、そもそも私自身は着物や決まり事に無知です。
「被布を着せたい。だって被布可愛いんだもん。」と熱望していた母の要望もあり、数えで3歳を迎える今年になった。タイミングなんてそんなもん。
母イチオシの被布は、40年前に祖母(娘にとっては曾祖母)が私に作ってくれたもの。90歳を過ぎて認知症が進んでしまった祖母だけど、ひ孫と一緒の写真撮影は嬉しそう。
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着物は私からのつながり
続きまして、いきなりブサイクなこの娘は、
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私です。かなり可愛くなかった、と我が家では定番ネタだけど、自分でも驚くほどのブチャさ。
娘と比較すると、なんと娘の可愛いことよ。
被布だけでなく着物も私のもの。七五三、お正月、お祭りと何度も着せてもらった着物は、姪っ子ちゃんをはじめ、色んな親族の袖を通りながら、娘にもまわってきた年季物。汚れもシミも酷いから、気にせず自由に着て!と安心のもと纏える着物です。
40年近くの歳月を経て、祖母から孫に。
孫からひ孫に継る着物と被布。
いい家族風である。
母の着物を拝借
事前に娘とサイズ合わせをしたり、縫い上げをしたりしてくれるのは母。神様、仏様、お母様レベルで諸々お任せしてしまった今回。
自分の着物も持ち帰ってはいたものの、一目母のを見ると 「絶対、母の着物を着たい!」と色無地と帯を拝借。母の着物を借り、夫にも褒められながら、ホクホクした気持ちで母親気分に浸っています。
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女性陣はみんなお着物
娘と私だけでなく、義母と母も実は着物。と言っても、2人は着物地をつかった洋服。
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母は着物をリメイクしたワンピース、義母は着物生地を使って自身でつくった赤のワンピース。義母はとっても洋裁がお得意。夫もプレゼントしたネクタイをつけてくれたりと、皆でテンション高めの記念の装い。
七五三詣りへ
肝心の娘は?というと、大暴れの着付けでOさんを悩ませつつ、プロの貫禄を見せてもらいながら着付けが完了、いざお詣りへ。
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短い髪をあげ、ピンだらけの後ろを隠してくれる優れものリボン。さっと作って飾ってくれた大きな赤リボンは紙素材。なんて粋なアイデア!
当日は菊花展のタイミングでもあり、バックには菊の花。田舎なので込み合うこともなく、ゆっくり祈願の時間を取ることもできました。
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カメラマンは弟と自分
記念の写真はプロが一般的。でも人見知りして写真を撮れない可能性を考慮し、弟に依頼。何でも器用な弟、上手にあやしながら撮ってくれます。
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神社でのお詣りを終え、クタクタになった娘は、ひと眠り。お家に帰ってから目がぱっちりしたので、弟カメラマンと交代し、私がカメラマンに。
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何度も見返してしまう七五三の写真。
暴れまわって着付けもままならなかった娘は、写真を見るたびに
「おばちゃんが可愛くしてくれた!」
と誇らしげ。おばちゃんに伝えたいよ。
両家がそろい、祖母から娘へ四代の継り。
30年以上お付き合いのある美容師さんは母の友。弟が撮ってくれる記録。
たて、横、斜めの関係性。
一番は、継る人たちと、同じ空間で同じ体験を共有できた一日になったこと。
お祝いしてくれたみなさまに感謝。
愛を込めて。