見出し画像

【映画レビュー】『ゴジラ-1.0(ゴジラ マイナスワン)』/ゴジラという存在の描かれ方の変遷


はじめに

この作品は2023年にゴジラ70周年記念作品として公開されました。
ゴジラ好きは絶対に見るべし。迫力満点の映像技術と音声技術に今までにない興奮でした。
戦後にすべてを失った日本をさらに容赦なく襲うゴジラの姿が今までの作品にないぐらいド迫力に描かれています。

予告編のYouTube映像には世界各国からコメントが寄せられており、公開から1年経った今では1000万再生以上もされています。

Amazonプライム会員向けの配信サービス「Prime Video」では無料で配信されています。その他ハリウッド版GODZILLAなども含めたシリーズも公開中だそうです。入会30日間は無料なのでこの機会に是非。

「ゴジラ-1.0」Prime Video

あらすじ(ネタバレあり)

戦後の荒廃した日本を舞台にしており、太平洋戦争後、日本が復興の途上にある時期に、再び東京を襲うゴジラの姿が描かれています。主人公の敷島浩一は、戦争で特攻任務から逃げ、戦後はPTSDやサバイバーズ・ギルトに悩む中、ゴジラとの再戦を余儀なくされます。復員省の任務で機雷の撤去を行う中で、彼と仲間たちはゴジラの脅威に立ち向かいますが、ゴジラの圧倒的な力によって多くの犠牲が出てしまいます。人類はその巨大な力に勝てるのか――。

この映画のゴジラは日本の戦後復興にさらなる打撃を与える存在として描かれ、敷島がリーダーシップを発揮して戦うものの、彼の行動には「戦争の加害者としての責任」というテーマも含まれています。最終的に、特殊な作戦「わだつみ作戦」がゴジラ撃退への最後の望みになりますが、ゴジラの強力な再生能力により作戦は難航してしまいます。この作品は、単なる怪獣映画ではなく、戦後の日本社会や反戦のメッセージを強調した内容になっていると思います。

戦後さらに追い打ちをかけるゴジラという描かれ方

大迫力の映像と音声はもちろんで、公開してすぐに映画館で鑑賞したが、4DXスクリーンで観ればよかったと今更後悔したほどでした。

また、毎度のことながらメッセージ性が強く、今回は予告版にもあった通り、「生きて、抗え。」ということで、戦後人々が懸命に生き抜くために、足掻く現代ではあまり感じることが出来ない姿が生々しく描かれていると思います。最近は平和と共にどこか忘れてしまっているような大和魂を少しでも思い出せるんじゃないでしょうか。

さて、最近のゴジラシリーズでは「ゴジラvs〇〇」というよりゴジラそのものが脅威で排除すべき存在という描かれ方が多いです。と言っても最近はシン・ゴジラと今回のゴジラ-1.0だけでしょうか。。(海外版はゴジラvsコングとかもありますが)

一昔前(私が小さい頃)は「ゴジラvsビオランテ(1989)」、「ゴジラvsデストロイア(1995)」、「ゴジラxメカゴジラ(2004)」などゴジラvs〇〇シリーズが多かったんですよね。そして大体の作品は怪獣同士が戦って最終的にゴジラが人間を助ける形で終わるんですよね。人間たちは戦いはするものの強大な力には及ぼず、ただ見守るしかないみたいな感じでした。

ただそれって今思うと、現実に日本が平和だった象徴というか、悪く言えば平和ボケ?のような描かれ方な気もするのです。

ゴジラと別の怪獣が戦うことがメインなのは、ほかの国々が争っていて、日本はそれを静観しているような様子に感じてしまいます。(もちろんゴジラの世界では日本も尋常なほど被害を受けているのであくまで描かれ方の話ですが。。)

ですが、「シン・ゴジラ(2016)」、「ゴジラ-1.0(2023)」でのゴジラの描かれ方は「ゴジラvs人間(日本人)」ですよね。なんかこれって現代の世界情勢にも当てはまるような気がしてて、徐々に明らかになってきた世界の権力者構造とそれに対する日本の立ち位置が、まるでゴジラのような強大な力に圧倒されかけている日本人のように見えてしまいました。(シン・ゴジラでは総理大臣含む政治家の乗ったヘリコプターをゴジラの放射線流が直撃して「内閣総辞職ビーム」と呼ばれていたりとか。。これは違うか。。)

少し世界情勢について触れましたが、あくまで感想なのでこれ以上は言及しないでおきます。。とにかくこの「ゴジラ-1.0」という作品は、ゴジラという強大な力に、戦後にも関わらず立ち向かう勇敢な日本人が描かれているので、そういった意味では勇気を貰える作品なんじゃないかなと思います。

ちょうど本日(2024年11月1日)は金曜ロードショーでこの「ゴジラ-1.0」が地上波初放送らしいので、そちらも楽しみですね。

配信サイト

2024年10月現在ではAmazonプライムビデオのみ配信されているようです。


また、なんとモノクロ版『ゴジラ-1.0/C』も公開されているということです。ただのモノクロではなくカラー版の迫力も残しつつもまた違った印象になっていますので、二度楽しめそうです。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集