見応え抜群の娯楽映画!~『ランサム 非公式作戦』感想(ネタバレなし)〜
(以下、映画『ランサム 非公式作戦』の感想ですが、物語の核心に迫るようなネタバレはありません。ただし、映画に関する情報を出来るだけ入れないで鑑賞したいという方はご注意ください。)
ベン・アフレック監督の映画『アルゴ』を彷彿とさせる人質奪還モノに、バディものの楽しさが合わさった、見応え抜群の娯楽映画でした。
ソウル、レバノン、スイスを舞台に繰り広げられるストーリーや、モロッコ内でのロケーション撮影など、スケールの大きさを感じさせる作品の雰囲気は、映画館で見るのに相応しい迫力です。モロッコに再現されたレバノンの街並みは異国情緒に溢れておりスクリーンを見ているだけで楽しく、広大なアトラス山脈はミンジュンとパンスの物語と相まってハッとする美しさを感じました。主人公たちと一緒にスリリングな旅をしているかのような観光映画としての側面が、本作の魅力の一つだと思います。
そして、それらとは対照的に、ソリッドな設定を活かしたサスペンスフルな作劇も印象に残ります。
例えば、敵から逃げる主人公たちの乗るタクシーが路地裏で立ち往生してしまうシーンや、追手から逃げてビルの屋上で右往左往するシーンなどは、派手なアクションで無理矢理見せ場を作るのではなく、限られた空間と人数で観客をハラハラドキドキさせるシークエンスを作り出しており、見事だと唸らされました。
さらに、ミンジュンとパンスの二人だけではなく、命を懸ける仲間を想う「外務部」の人々に焦点を当てた、胸を熱くさせるシーンが中盤にあり、単純な英雄譚に終わらせない造りにも感動しました。
また、パンフレットも読み応えがあり、特に明治学院大学の秋月望さんが寄稿したコラムが本当に面白い話で、映画を見た方には是非読んで欲しいと思います。
『密輸 1970』に引き続き、心の底から面白いと思える韓国映画にまたまた出会ってしまったと、ほくほくしながら映画館を後にしました。