悪いことはなぜ楽しいのか
悪いことはなぜ楽しいのか
著 戸谷洋志
確かに、悪いことはなぜ楽しいのでしょう?
自己中、意地悪、復讐……一般に、
「論理的に悪い」とされていることを、
様々な引用や視点から見つめ直す本です。
明確な答えのない問いですから、
ここで議論はしないほうがいいかなと思うので、
本自体の感想。
作者の経験を交え、
「あぁ確かにそういう感情になるな」
という導入から入ったのち、
展開されていく理論が気持ちいいなと思いました。
例えばカラオケでハモられてちょっと嫌な気持ちになるとき。
わざわざ制服を着崩したくなる感情。
嫌味を言われたとき、ギャフン言わせたいと思うこと。
案外、皆さんにも共通して持ちえる感情なのではないでしょうか。
加えて、この一つの本で、
様々な人の意見を聞けることが楽しかったです。
リヴァイアサン(ホッブズ)、よだかの星(宮沢賢治)、こころ(夏目漱石)、カラマーゾフの兄弟(ドストエフスキー)……
これらのあらすじが、ざっと書いてあるので、読んだことがなければ「こういう話だったのか……」と、一つ見識が増えた気がします。
そして、これら作者それぞれ意見に触れることが出来るのです。
最後に。
単純にわたしは、この著者の方の文章が好ましいなと思います。
少しおちゃらけていてユーモアがあります。
気になった方はお手にとってみてください。