家系 その味を継ぐ者…(2話目)
一口だけ、もう一口だけ、あともう一口だけ、とレンゲでスープをすくう手が止まらない。このまま全て飲み干してしまうのでは無いのか、と、ふと我に返りレンゲを置き、箸を手に取り麺を持ち上げ、店内の空気を丸ごと全部吸い込んでしまうかのような勢いで啜ってみる。
「ゴフッッ」
熱々の来訪者に喉から始まる器官達が驚きの声をあげる、少し咳き込みながらも丼に3枚のっている大判の黒々とした海苔をスープに浸す、パリっとアイロンがかかったスーツを身に着けたビジネスマンにも似た姿だったが、スープが染