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ごはんをたべる・日本人が食べてきたもの

「食事で体質改善する」とかいう話を聞くことがあります。
「食事が体を作る」とかいう話も聞いたりします。

まっ、確かにそういうことはないとは言えない。
なんせ食べ物を口に入れる回数を単純計算すると、
1日3食 × 365日 = 1095回
1日1食しか食べない人がいるとしても、
水分補給なんかを入れれば
絶対に1年間に1000回以上は体内に食べ物を入れている。

ある意図を持って食材を選んで食べていれば、
1年続けただけでも、かなりの回数繰り返される習慣になるわけで、
そしたらなんらかの影響が出てくるに違いない。

と、まぁこれはその人個人の食生活に関することですが、
民族としては、
もっと長いスタンスで考える必要があるんじゃないだろうか。
日本人は弥生時代から農耕文化が始まったと言われてて、
そのころから2000年くらいは農耕で得られた作物を食べる生活が続けられてきた。

もちろん、肉や魚も食べていたとは思うんだけど、
ある時代から、植物性の食品中心に食べている生活がながーく続いてきたと考えられているわけです。
たぶん、その方が日本人には効率がよかったんだと思われます。

なので、
「穀類、プラス草(野菜)、プラス塩、プラスちょびっとの大豆」
というパターンの食事を1000年とか、1500年とか食べ続けていた。
もちろん、動物性たんぱく質も食べてたとは思うんですが、
毎日というレベルで食べていたわけじゃないと思われます。

で、そういう歴史の中で日本人の体質が出来上がってきた。
現在みたいにたくさんの動物性たんぱく質を食べていなかった時代、
昭和40年代くらいまでは日本人は脳出血による死亡が多かった。
これは「たんぱく質の摂取量が少ないことが原因で血管が弱かったから」
って、言われてます。
感染症にもかかりやすかった。
だから、「肉食べろ、魚食べろ」という運動がおこったんですね。

食事内容が変化した結果、
死亡原因や罹りやすい疾患も変化していったわけですが、
それって、日本人が基本的に持ってる体質というのは、それほど簡単には変わらないからだと考えられるわけです。

ちょっと古い統計にはなりますが、
昭和60年代の研究データで「糖尿病の罹患率」みたいなものが国際的な比較で検討されていて、
結果だけ簡単に言うと、
同じ程度のエネルギー摂取があった場合、
一番罹患率が高いのは黒人、次に日本人、白人
の順だったって、有名な調査があります。
たしか、この調査時の日本人の平均的な食事内容は今より糖質のエネルギー比が高かったはずです。

要するに、日本人の体質は、少ないエネルギーを効率よく使う。
→ つまり、歴史的考えると、毎日の食事として確保できたエネルギーは
  それほど多くない。
→ なので、欧米式の食事で、なおかつ高エネルギーだと疾患につながる
  可能性が高まる。
ってことだと思うんです。

近年、低糖質ダイエットが流行しているわけですが、
今までの話を踏まえると、
日本人は糖質以外の栄養素をエネルギーに変えにくい可能性があるので、
このダイエットが有効、という体質を持った人がそこそこいるかも?です。
同時に、日本人にとって効率的な代謝が行われるわけではないので、体に負担がかかって疾病につながる可能性もある、とは思います。

例えば、すい臓がんが増加傾向にあったり、痛風や肝臓疾患が増加したり、ということがあるわけですが、
このあたりについては、「食生活の欧米化が原因の1つ」と分析されてることが多いんですよね。
元来の体質に合わないことをしていること、
そして寿命が長くなった分、繰り返される回数も増えたということ、
当然と言えば当然かなと思います。

ま、長い歴史の中で繰り返された習慣が体質を作ってるかも?という話は色々あるんだけど、
人間の進化の歴史として、
「それぞれの地域」に長く住み続ける「それぞれの民族」の体質(遺伝子)には、適応が生じているってことだと思います。
ダーウィンの進化論、ですね。
「生き物は自然選択によって環境に適応するように進化する」
って、例のヤツです。
(民族間でものすごく大きな差異が生じているわけじゃない、とは思うけども・・・)


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