Maiko

旅が人生の軸。今、考えたいこと、伝えたいこと、忘れたくないことの記録。 職業:母親。フリーランスのドキュメンタリー演出家

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最近の記事

旅の記憶。魔女の海、死と生の間の永遠

旅が人生の中心だ。旅してないと私はじわじわダメになる。だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 2012年 9月11日 Iceland The Black Sand Beach 魔女の海 真っ黒な海岸に、つぎからつぎからグレーの波が押し寄せて じっと立っているだけで、その真っ黒な海の中に引きづり込まれるような 怖さ。 ざざー、ざざーという轟音だけが風の中で響き渡って そして、そこには、わたし一人。 生命のにおいも、気配もない。 海をみて、はじめて「怖い」と体が

    • 旅の記憶。柿の木と庭師

      旅が人生の中心だ。旅してないと私はじわじわダメになる。だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 2012 日本のある場所、柿の木と庭師の記憶 朝顔を育てている。でも、育ちがイマイチなのだ。 緑のカーテンがうちの小さいベランダを覆ったらどれだけ素敵だろうと思ったからだ。花屋の店員によると、成長の早いあさがおは、驚く程の早さで成長し 一気につるを延ばすという。3週間もたてば鉢を取り替えた方がいいくらいだそうだ。 しかし、1ヶ月以上、水やりをかかさず、日当りもいい

      • 記憶の物語。あの日のコーヒーと今日のコーヒー

         「○○が昨晩急死しました。急性心筋梗塞でした。」 SNSで彼の妻だという方の投稿で知った。子供が産まれたばかりだったのだそうだ。 「バカだなあ。ほんとうに、バカだ。」 頭の中で、彼はバカだ。という言葉ばかりが駆け巡った。哀しみも、せつなさも、涙も何も出てこなかった。どうして、哀しみという感情が出て来てくれないのか、自分の冷たさを恥じさえした。どうしてだろう?  彼と私は、「慰めあうためだけに存在するテンポラリーな関係」だった。 彼と出会った頃、私は自分で立ち上げた小さ

        • 旅の記憶。ヨナと走った海岸線

          旅が人生の中心だ。旅してないと私はじわじわダメになる。だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 2012 アイスランド・レイキャビックのはずれ 宿のお母さん、ヨナさん。ごつごつしたたくましい手のひらに一目惚れ、焼いてくれるパンケーキがあまりにも優しい味がして、私は大好きになった。 ヨナさんと海岸線を車で走っていた。 アイスランドの海、砂浜は黒い。 「アイスランドの黒い砂浜は、とてもきれいだね。」と私がいうと。「日本の砂は、白いんでしょ。わたしにとってはそっち

          旅の記憶。あるニッポンジンの痕跡

          旅が人生の中心だ。 旅してないと私はじわじわダメになる。 だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 2012 スペイン・カピレイラ スペインの都会に少し疲れて、静かなところを求めているとなんとなく、アンダルシア地方にあるシエラネバダ山脈の中にある「カピレイラ」という小さな村。村というか集落にたどり着いた。 偶然たどり着いたこの村で、小さな宿を見つけ、籠った。もう10年もほったらかしにしていたガルシア・マルケスの「百年の孤独」を読みふけり、考え、昼寝をし、でたら

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          旅の記憶。アイスランドの大地が教えてくれたこと

          旅が人生の中心だ。 旅してないと私はじわじわダメになる。 だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 2012.Iceland アイスランド。 氷原をあるきまわって、ぐったりとして山の上のゲストハウスからふと見た夕日。 たぶん、一生忘れられないと思う。 それまで見て来た、オーロラや魔女の海や、大氷原と目の前に広がっている蛇行した小川の向こうに広がった、水平線一面に幾十ものグラデーションで美しい光を放っている夕日。 「どうして、世界はこんなにも美しくて切ないん

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          旅の記憶。ストロベリーフィールズ

          旅が人生の中心だ。 旅してないと私はじわじわダメになる。 だから、記しておこう、あの日、あの時の旅の記憶を。 ストロベリーフィールズ 2013.NYC ニューヨーク最終日、貴重なオフ日。朝早くから街にでた。 まずは、ホテルのすぐ近くにある、セントラルパークへ散歩した。 これからとても寒い冬を迎えるニューヨーク。 この日は、秋らしい風がとても心地よく、最高の時期に大好きなこの街にいられるのは、幸せ以外の何ものでもない。 しばらく、ただぼーっと、気持ちよく散歩していた。 で

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          集団に合わせない自由。幼稚園の発表会で思ったこと

          音を楽しむから『音楽』 年長児の息子の幼稚園の発表会が終わった。 公立の子ども園です。 合奏、劇、合唱の三つのプログラム。 あまり、合っているとは言えないがちゃがちゃとした合奏から始まった。子供達はみんな楽器に集中して、とても楽しげで、そんな様子をみてると、合ってないことなどは別に大切ではないな。楽器ひとつひとつが踊ってるようで、これが音楽。音を楽しむってことか、素敵だな。そんな気持ちでうきうきと見始めたのだ。 劇、子どもたちのコスチュームの可愛らしさや、楽しげな様

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          女の人生「子を産むこと」と「キャリア」との二択。

          私のこと、「仕事」か「子供」かの二択 7年前と今と、あまりにも人生の中心みたいなものが変わってしまって、いつになっても慣れているとは言えない。ふと「私は今どこにいるのか?」と思考の中で迷子になる時がある。何が変わったかというと、前は仕事の中で作品を生み出していた、と、今は子を産み育てていること。実際のところ、私は子育ては好きです。でも・・・。あの頃を懐かしく思い出す日は少なくない。まだまだノスタルジックに浸るなんてわけではなく。とても生々しくうずうずする。 かつて私はドキ

          女の人生「子を産むこと」と「キャリア」との二択。