ガザ難民キャンプを訪れて感じたこと
パレスチナのガザ地区では、3日前から3日間に渡り、イスラエルによる空爆を受け、女性や子ども15人を含む44人が死亡、300人以上が負傷している。
停戦で合意されたとはいえ、ガザ地区に住む人々は、いつまた衝突が起こるのか分からない不安な日々を過ごしていることだろう。
そのような中、ヨルダンに住んでいる私は、先日ジェラシュにあるガザ難民キャンプを訪問する機会に恵まれた。
ガザ難民といえば、同じパレスチナ難民でも、ガザ出身のパレスチナ難民は、ヨルダン国籍を与えられず、ヨルダンでの日常生活においてさまざまな不利益を受けていることについて、同僚から教えてもらったばかりだった。
そんなガザ難民の多くが、ジェラシュのガザ難民キャンプに住んでいるということで、ガザ難民キャンプを見学したのだが、彼らの劣悪な住居環境や、制限された就業機会など、生活におけるあらゆる不利益を目の当たりにすることになった。
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ジェラシュ遺跡から5キロの所に位置しているガザ・パレスチナ難民キャンプは、1967年の第3次中東戦争時、多くのガザ出身のパレスチナ難民がヨルダンに避難してきた翌年の1968年に設立された。
初めは11000人規模のキャンプであったが、現在は35000人ほどのガザ難民が、1キロ圏内の狭い範囲に暮らしている。
このキャンプの住民のほとんどが「ソーシャルセキュリティーナンバー」を持っておらず、9割近い住民が健康保険に加入できていない。
また、ヨルダン国籍を所持できないことにより、教育や就業の機会も大きく制限されている。
例えば、大学の学費はヨルダン人の2、3倍かかる。
彼らは医療職には就くことはできず、高校を卒業しても職がなく、路上で何もせずにたむろするしかない若者の数も多いと言う。
実際に、ガザキャンプ内における失業率は39%と高い。
今回案内をしてくれた某NPO団体の現地スタッフの方は、キャンプ内にある実際の住居に連れて行ってくれた。
最初に訪れた家庭は、建物の2階部分が住居であり、ガラスや窓枠がない吹きさらしの窓がついていて、物が散乱した部屋に、寝たきりだと言う女性がベットに横たわっていた。
ガザ難民キャンプの特徴として、トタン屋根の住居が多く、屋内から空が見えてしまっている。
降水量の多い冬には、寒さに凍えることはもちろん、トタン板の隙間から雨漏りすることにより、水を受けるための鍋や皿で床が埋め尽くされてしまうと言う。
次に訪れた家庭でも、同じような光景を目にした。
最後に、このNPO団体が建設中だというコミュニティーセンターを見学させてもらった。
キャンプ内の住居とは違い、このセンターの建物の造りはしっかりとしていた。
ここのコミュニティーセンターは近々完成を迎えるが、ここでは子どもの補習校、若者への職業訓練校、お年寄りのための医療やコミュニティー施設などと、キャンプの住民の教育、医療、文化的支援を担う予定だ。
ガザキャンプ内の学校では、50〜60人の子どもたちが一つの教室で勉強しており、子どもが授業に集中できるような環境が整っていない。
小学4、5年生になっても読み書きができない子どもがたくさんいると言う。
そのため、この団体が補習校を運営することによって、彼らの学力の底上げを目指しており、実際に落第レベルの子どもたちが、補習を受けたことによって、成績でA評価をもらうほどに学力が向上している。
低学力によって退学する子どもも多い中、補習によって学校が好きになる子どもたちもたくさんいるということで、この補習校が持つ役割は大きい。
ただ、前述した通り、就業機会が限られているため、学力をつけたところでその先の未来に繋がっていない現状にやるせなさを感じる。
そのため、このNPO団体は高校を卒業した若者に、起業させるという選択肢を提示しており、そのためのワークショップなども提供している。
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私は、ヨルダンの、あるパレスチナ難民キャンプで活動しているが、私の活動する難民キャンプとは比べ物にならないくらい、ガザキャンプの難民の人々の暮らしは厳しいものであることに衝撃を受けた。
話を聞くところ、ヨルダンに存在する10のパレスチナ難民キャンプのうち、今回訪問したガザキャンプが一番貧しいということであった。
ヨルダンで暮らしてまもなく10ヶ月を迎えるが、難民について、まだまだ知らない側面がたくさんあると感じた。
ヨルダンにはパレスチナ難民だけではなく、多くのシリア難民も暮らしており、シリア難民キャンプも多く存在している。
彼らの厳しい過酷な現実を目の当たりにしても何もできない自分の無力さを感じるばかりだけど、こうやって自分の目で見たことや感じたことを積極的に発信することによって、さまざまな社会問題、強いては難民問題に対して無関心でいるのではなく、興味を持つきっかけになればと思う。
自戒を込めて。
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