令和のエモい携帯小説(ホワイトカメリア/MIYAMU)
Twitterで話題になっていた、バーテンであり占い師であり香水プロデュースなども手掛ける著者による小説。
恵比寿のバー「citr0n」を舞台に、美男美女が恋愛を繰り広げるのだが、全てにおいてリアリティーがなさすぎて私には合わなかった。
物語は、バーテンの千里(ロン毛のイケメン)、千里の恋人の椿(職業モデル)、千里の古くからの友人・成瀬(広告代理店の営業・イケメン)、成瀬の取引先のデザイナー紫葵(ちな/爆美女)、成瀬の高校の後輩・藍(美女)、バーの常連客・臨(爆イケ社長)のそれぞれの目線で綴られていく。
揃いも揃ってモテまくる彼らだが、恋愛のためだけに生きているような人たちばかりで台詞や思考に個性がなく、モテる理由が容姿以外に見当たらない。
安易に人を死なせたり結婚させたりするエンディングも、昔の携帯小説のようだった。
文章はすごく誌的で、登場人物の台詞はもちろん、地の文も終始「冬の夜の海は沈黙と手を繋いでいた。」みたいな雰囲気で延々続いていく。
これを「エモい」と称賛する人の気持ちは分かるが、いかんせん登場人物の中身がなさすぎた…これで涙を流す人は、今まで何を読んできたのだろう。
後から見たアマゾンレビューと自分の感想に乖離がありすぎて不安になった。身近な人の感想が聞きたい。