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新たな介護職キャリアモデル「山脈型」から、価値観アップデートの必要性を語る
これまで介護職としてのキャリアモデルは一本道となることが多く、「そのキャリアを進めるか否か」の二択でした。
一つのキャリアに対する意欲や能力などが問われることに重圧を感じ、職場を離れる職員も少なからずいた訳ですが、今回の記事はそのキャリアに対する新しいモデルを厚生労働省の方から提示されたというものになります😮
【記事の概要】
・多様な人材の参入を図りつつ、専門性を明確化・高度化して登る道を作るという意味合いの「富士山型」のキャリアモデル。
・これをアップデートした「山脈型」のキャリアモデルを厚生労働省が新たに描き、現場への普及・浸透を目指しているという。
・「山脈型」のキャリアモデルとは、介護職員の意欲、能力、ライフステージなどに応じたキャリアパスを構築し、人材の定着促進や資質向上につなげるモデル。
・厚労省の吉田昌司福祉人材確保対策室長は
「様々な歩き方がある。職場のマネジメントだけでなく、例えば認知症ケアや看取りケアを極める、地域づくりに力を注ぐといった道もある。介護職員には多様な活躍の姿があり、ひとりひとりがより自由に選べるというビジョンを示したかった」
と語り、
①意欲、能力、ライフステージなどに応じたキャリアパスの構築
②人材の定着促進や資質向上
につなげる道筋を提案し、新たに介護の世界に入ろうとしている若い世代にとっても魅力となるキャリアモデルの推進に尽力する。
【適材適所を目指す山脈型キャリアモデル】
これまでの富士山型だと
「現場→現場リーダー→サービス提供責任者→…→施設長」
というのが主な道筋でした。
(※「…」分で相談事業や経営本部に分岐する場合あり)
このキャリアモデルに対して職員全員がやり甲斐を感じられれば良いですが、役職で求められる能力が異なるため、挫折する人がいたり最初から役職を望まない人がいたりするのも事実です😔
もちろん組織として次世代が役職に就くことは重要ですが、それが
・年功序列
(勤続年数を基準に半自動的あるいは半強制的に課される役職)
である内は職員当人の感情を後ろに追いやってしまう為,退職・転職を考える機会を増やしてしまう訳ですね😓
特に「Z世代」と呼ばれる20代を中心に
「出世欲がない」
「昇進に興味が薄い」
「管理職になりたがらない」
といった「静かな退職」が広がっていることも、キャリアモデルを考える上でポイントとなります👨🏻🏫
その為、「役職に就いてもらわなければ困る組織」と「役職に興味・意欲がない職員」と、一見相対する構図に合わせて
・慢性的な人材不足
・介護報酬改定に合わせた業務改善
といった業界事情をすり合わせれば、
「組織は固定化されたキャリアモデル(富士山型)によって人材や収益を手放す余裕は無く、職員は自分が求める生き方に合わない時間を無為に過ごす余裕は無い」
ことが見えてきます🔍
であれば、多様なキャリア展開を提示して職員が目指したいキャリアを目指せる「山脈型」のモデルが求められるようになり。
職員一人ひとりが「こう働きたい」という意欲で集まりチームが『適材適所』となって全体のパフォーマンスを向上させることが現実的な打ち手と言えるでしょう😊
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【職場に「目指したいキャリア」が無い場合】
とは言え、職員が求めるキャリア全てを用意することは困難ですし、多様なキャリア展開が事業を圧迫しては本末転倒です😥
また一昔前は自分の時間を削ってでも働いてお金を稼ぐワークスタイルが主流でしたが、今ではお金(給料・役職)を削ってでも時間を大切にするワークスタイルも増えてきています。
前者を「ライスワーク的」(=富士山型)
後者を「ライフワーク的」(=山脈型)
と考えれば、職員が「どのように働きたいか」を軸にした山脈型のキャリアモデルを進めていくのは『第一条件』と言えます。
では、次の条件とはなにか。
それは「職場に目指したいキャリアがない」ことに対するアプローチです。
組織内にないリソース(資源)は組織外に求めることになり、キャリアの多様性は組織の多様性によって成り立つことが伺えます👀
そのため介護施設が地域にとって、あるいは介護業界やコミュニティにとってどのような立ち位置にあるかが多様なキャリアモデル展開の実現可能性を現す、とも言えます。
それは「施設単体で運営するのは年々厳しくなる」という話でもあり。
思い返せば地域社会・介護業界、コミュニティから孤立している「閉ざされた施設」には『外部の目』が入りづらくなって虐待や不祥事が相次ぐものとなっていました😢
[「開かれた施設」へ移り、ヒトが居着く場所へ]
このように「閉ざされた施設」がこれから辿る道のりは厳しく、どこかで「開かれた施設」へと転じる必要があります。
そして「開く」ためには「開かれても問題ない状態」にすることが欠かせず、それは
「ヒトがヒトを愛せているか」
が一目でわかる状態です🥰
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施設における「ヒト」とは、職員・利用者・組織人全てを相互に補完します。
職員から利用者へ、利用者から職員への想いだけではなく、
・組織人への思い
・組織人からの思い
・職員同士、利用者同士、組織人同士の想い
それらが循環して、お互いを愛する状態に慣れていることが「開かれた施設」の条件となります。
この愛情もなく必要性に迫られて情報開示や見学等、実習受け入れ等を行っても
「なんだか職員さんが忙しなく働いていて大変そう😢」
「あの方(利用者)、座ったままボーッとしていて大丈夫かしら😧」
「施設長さんは良いことをおっしゃっているけど、とてもそんな風には見えない、感じられない😔」
と、かえってヒトを遠ざけてしまうばかりです😱
「ヒトがヒトを愛せているか」と言うと精神性に偏った意見かと思われるかもしれませんが、今の世の中が物質性に偏りすぎているから、「愛する」という基本的なことですら偏って感じられるのだと僕は見ています。
そも介護の対象は「ヒト」であり、対象となるヒトを愛せないヒトが無理やり介護をしたところで「介助」止まりにしかなれません😣
人手が足りない今はそれで良いかもしれませんが、科学的介護を始め「介助の数値化」が進められていることを考えると、介助領域の能力を伸ばしてもいずれは介護テクノロジー等に追い抜かれて「御役御免」となってしまいます😰
加えて「介助の数値化」によって常に最適解が出され、最適解に沿うような生活設計がされ、自分の意思が最適解によって流される未来が利用者に待ち受けているでしょう。
施設にしても最小限の手続き以上のものは必要とされなくなり、わずかな人数が『生命の責任』を負うために常駐するシステムで運営されることになるでしょう。
そこに「ヒト」の居場所はありますか?
居場所のなくなる場所に「ヒト」は集まりますか?
こうした本質的な部分が問われているからこそ、ヒトが居着く場所として施設が機能する為に「ヒトがヒトを愛する」という、社会形成における基礎が大切なのです👨🏻🏫
[職員が生き方を選択できるように、価値観をアップデートしよう]
職員としても自分のキャリアが選べる方が将来設計に対して意欲を持ちやすくなります。
「この道一本しかない」となれば「そこに進むか否か」の二択となり、「NO」と答える人が多いからこそ人材不足になっていく訳です😶
ではそうした人材が他産業に移るかと言うと、約8割は同業他施設へ移ることがわかっています。
こうした人材流出を避ける為にも「キャリアの多様化」は必須です。
目指すところは「職員の選択肢に自施設が入る」ことで、雇用形態やこれまでの価値観に縛られていると施設維持すら難しくなってしまいます😰
理想としては「職員が求める月収」ですら不足分を「職員自らに稼がせる」選択肢を与えられた方が良くて、
「職員が求める月収」>「介護報酬上支払える給料の適正値」
という現実に対して
「介護報酬上支払える給料の適正値」を上げてばかりいるから増税の契機を招き、より社会全体を貧しくさせる『貧しさループ』
から抜け出せるように、組織として
・副業解禁とバックアップ
・現場の業務改善
・パラレルキャリアの推奨
を推し進めてもヒトが離れないほど「愛される」ことが急務なのです😳
つまりヒトを選ぶ時代から、ヒトから選ばれる時代へと移った。
介護人材不足改善はこうした価値観のアップデートから始まっていくのです👨🏻🏫
【まとめ】
今回は多様なキャリアモデルを展開する「山脈型」と、そこに至るまでに課題となる精神性についてのお話をしてきました😊
山脈型のキャリアモデルによって明らかにされたのは
①従来の「富士山型」のキャリアモデルでは、特に若い世代への理解・共感が得られず人材を手放し、寄せ付けないこととなってしまう
②「職員の意欲、能力、ライフステージなどに応じたキャリアパスを構築する」こと。すなわち職員側の視点に立ったキャリアモデルを国が推奨するほど価値観が変化している
③キャリアモデルの多様化に沿って「働き方」そのものも柔軟となり、職員一人ひとりの事情に合わせた環境を如何に提示できるかが施設存続の課題となった
この3点であり、その根底には介護の本質である
・『生命の価値』の保証
(「ヒトがどれだけヒトを愛せるか」)
が、それぞれの施設でどれだけ実践させれているかがある、という話でした👨🏻🏫
今回もここまで読んでもらい、ありがとうございます☺️
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