前川知的財産事務所

前川知的財産事務所は、お客様のビジネスを強くするための知的財産(特許や商標)の創出、権利化、活用をトータルにサポートすることができる知的財産事務所(特許事務所)です。https://www.maekawa-ip.com/

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マガジン

  • 事務所理念について

    前川知的財産事務所の4つの理念について書いた記事をまとめました。

  • セミナー「知財覚醒教室」を語る

    弊所が開催しているセミナー「知財覚醒教室」シリーズについて、開催する背景や想い、運営のあれこれについて語っています。スタートアップ・ベンチャー企業の経営者や知財部員の皆様に一人でも多く知っていただけたらと思います。

最近の記事

セガVSメメントモリ訴訟にみる古の「WCCF特許」と低レア合成について

1.事案について 数日前ですが、「メメントモリ」というゲームを対象としてセガがバンク・オブ・イノベーション(BOI)という企業を訴えたというニュースがありました。 私は今、ウマ娘のチャンピオンミーティング決勝と新シナリオ待ちなので、プレイしていない覇権でもなんでもないゲームについては、そうなんだ、ふーんという感じでしかないのですが、記事には対象特許が特許番号とともに明確に提示されており、これを確認してみることにしました。 対象特許 日本国特許第5930111号 日本国

    • パルワールド訴訟と日本のゲーム特許の意義について考える

      またまた、大変久しぶりに記事を投稿致します。 今年の一月にこのような記事を投稿しました。 それが、この記事のタイトルや、報道されています事態となっていることは皆さまご承知のことと存じます。 この期末の忙しい時期に気が進まないのですが、謎の義務感で書いています。 私から申し上げることは特にないんですけれども、Wikipediaに名前が載ってしまっていたり、日経ビジネス様から取材をお受けしたこともあって、これに関しては投稿しなければならないだろうと勝手に考えております。 前回

      • ビジネスの運命が変わるかもしれない!?知財覚醒教室について

        弁理士法人前川知的財産事務所の代表弁理士の前川です。 今年(2024年)の4月から「知財覚醒教室」という名前で事務所にてスタートアップ・ベンチャー企業向けのセミナーを始めました。これまでは事務所の会議室のみでの開催でしたが、この8月からはオンラインでのライブ配信も含めたハイブリッド形式で行います。 ここで、この知財覚醒教室についてのコンセプトを書いておこうと思います。 私は特許事務所で20年以上の実務経験を積んできました。また、知財系の社会人大学院を修了したり、知財アナ

        • AIがした発明は特許にならない?最新の判例を解説

          久しぶりに記事を投稿致します。最近では、AIが絵画や音楽を創作したり、小説を書いたりするなど、その創造性は人間の領域にまで及んでいます。 しかし、AIが作った発明は、特許法で保護されるのでしょうか? AIが自律的に生み出した発明(AI発明)をどのように扱うべきかが、特許法の分野で大きな関心を集めています。 この問題に関する日本で初めての判決が、このたび下されました。今回は、一次情報を参照しながらその内容を詳しく解説していきたいと思います。 判決文自体は、こちらの裁判所サイト

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        • 事務所理念について
          3本
        • セミナー「知財覚醒教室」を語る
          1本

        記事

          ポケットモンスターに関連する知的財産権の保護について~パルワールド騒動を例に~

          久しぶりに記事を投稿致します。 忙しくて、というか労力の割に閲覧数が伸びないので投稿をサボっておりましたが、今回はポケモンとパルワールドということで、記事を投稿しないわけにもいかないだろうと勝手に使命感に燃えております。 著者はポケットモンスターシリーズをプレイし、「Pokémon LEGENDS アルセウス」および最新作「ポケットモンスター スカーレット バイオレット」のDLC第2弾「藍の円盤」までクリア済み、および「パルワールド」をプレイ中です。 「パルワールド」とは

          ポケットモンスターに関連する知的財産権の保護について~パルワールド騒動を例に~

          chatGPTの力を借りて完成させた発明は特許が取得できない?政府の資料を読んで今からできる対策を考えよう

          なにそれ?知らない、という方はこちらの記事を先に AI生成物が知的財産権を獲得できるか否かの議論はまさにいま世界中で行われているところであります。ただ、AIが完全に自律的に生成した物に関しては誰も権利を得られないというのはコンセンサスになりつつあると思います。 アメリカやドイツなどでも発明者をAIとした訴訟が行われていますが、日本の法律感覚に照らせばAIはそもそも人(自然人)じゃないから発明者にならないだろう、特許法29条1項柱書には「発明をした者は」と書いてあるので、発

          chatGPTの力を借りて完成させた発明は特許が取得できない?政府の資料を読んで今からできる対策を考えよう

          ジャニーズ事務所の社名変更、商標より内向きのネーミングの方が問題かも?

          どうやら商標に関する論点はなさそうなのでボツにしようかと思いましたが、企業ガバナンス上教訓になることもあるかもしれないので、投稿することにしました。 数日前からジャニーズ事務所の社名変更が公募されると噂があり、商標法上の問題が生じるのではないかと言われていました。 昨日報道があり、すわ、ジャニーズ事務所が社名変更か、と思いましたが、元の事務所は被害者への補償会社となり、その補償会社の社名が「SMILE-UP.」(スマイルアップ)になるとのことで、思っていた事態とは違うようです

          ジャニーズ事務所の社名変更、商標より内向きのネーミングの方が問題かも?

          商標権を使えば無償で提供した精米の転売を止められるだろうか?

          こんにちは。商標の記事ばかり書いていますが普段は特許を扱っております。 昨日目にしました世知辛い&せつないニュースはこちら。 生活支援のために都が無償で提供した精米がフリマサイトで販売されているというニュースです。 NHKのニュースだけ見ると、「都がせっかく無償で提供したのに転売するなんて…」という文脈で語られていますが、テレビ朝日のニュースも見ると、量が多すぎて食べきれなかったり、そもそも施設に入っていて不在なので必要のない人に届いたりと、デリバリーする側にも問題はあり

          商標権を使えば無償で提供した精米の転売を止められるだろうか?

          【ゲーム配信者保存版】「ネタバレ」ゲーム動画有罪判決→配信ガイドライン次第で犯罪者と人気配信者が紙一重って怖くないですか?

          ちょっと時期に遅れているのですが、シュタゲのネタバレ動画配信で被告が有罪に問われた事件で、民事じゃなくて刑事で、懲役2年執行猶予5年、罰金100万円という判決が出たということが、けっこうインパクトあるな~と思ったので一応書いておこうと思ったのでした。 報道記事はこちら↓ ネタバレ動画を3本投稿し、収入を得ていたということで、違法なのは明らかなのですが、それくらいだったらやっている人はかなりいるだろう、と思いました。 もしかしたら「お金を儲けていなければ大丈夫」という感覚

          【ゲーム配信者保存版】「ネタバレ」ゲーム動画有罪判決→配信ガイドライン次第で犯罪者と人気配信者が紙一重って怖くないですか?

          VR登録商標「フルトラ」事件の幕引き→企業としても難しい判断&第三者が安心するためには無効審判での決着が必要か?

          想像以上に反響を頂きまして。揉め事で閲覧数を稼ぐような浅ましさは多少自覚しつつ、需要があるのであれば専門家としてお応えしていく所存です、はい。 (何のことかわからない方はこちら↓) この件に関しては、商標権者様から公式の見解が発表されたということで、コメントで続報をというお声を頂いておりますので、続報記事を書いている次第です。 ありがとうございます。 それでは、商標権者様のご見解を見ていきましょう。繰り返しになりますが、第三者ですので、どちらの肩を持つことも無い立場で見て

          VR登録商標「フルトラ」事件の幕引き→企業としても難しい判断&第三者が安心するためには無効審判での決着が必要か?

          VR業界で商標トラブル?「フルトラ」の語の独占をめぐって無効審判請求→自前じゃない言葉を商標で抑えようとするのは危険か

          こんにちは。また揉め事…。揉め事ばかり漁っていて申し訳ないのですが、登録商標でキーとなる言葉を抑えたいという気持ちはわかるので、どうしてこういうことになってしまうのか、他山の石として事例を研究したいと思います。第三者ですので、どちらの肩を持つということはなく、専門家として品位ある記載に努めたいです、はい。 現時点で入手できる情報からわかるコトの次第まずネット上の記事はこちら↓ VR機器については、oculus rift sを持っている程度で(5万円ぐらいする高いおもちゃで

          VR業界で商標トラブル?「フルトラ」の語の独占をめぐって無効審判請求→自前じゃない言葉を商標で抑えようとするのは危険か

          芸能人の移籍や独立を商標権で縛ることは許されるのか?~氷川きよしさんやレペゼン地球さんの芸名の話題を例に~

          この話題、文春発でゴシップ的な側面が強いので、知的財産の話題として取り上げるべきかどうかしばらく様子見していましたが、意外な論点があって興味深かったので取り上げることにしました。 まず、記事として知られているものはこちら 追いかけるようにしていろんな記事が出ます。 どうも、現在の事務所からの移籍の動きがあるとされている氷川きよしさんの使用されている別名義である「kiina」(キイナ)について、事務所名義で商標登録出願され、登録されれば、この名称が使用できなくなるのではな

          芸能人の移籍や独立を商標権で縛ることは許されるのか?~氷川きよしさんやレペゼン地球さんの芸名の話題を例に~

          「あおもり犬」の意に反する使用と著作者人格権について~大阪IR・PR動画アート無断使用事件を例に~

          大阪府・大阪市が提供していたIR(カジノを含む総合リゾート)のイメージ動画で、奈良美智さんや、村上隆さんら著名なアーティストの作品を許諾を得ずに使用していたことが発覚した事件で、調査が行われ、報告があったようです。 ことし4月にこのような事態が発覚し、昨日、大阪府・大阪市及びイメージ動画の作成を担当したMGM・オリックスコンソーシアム(合同会社日本MGMリゾーツ)より報告がなされています。 https://www.mgmresorts.co.jp/news/1129/

          「あおもり犬」の意に反する使用と著作者人格権について~大阪IR・PR動画アート無断使用事件を例に~

          地名にちなんだ商標はなぜ炎上する?~AFURI商標事件を例に~ラーメン知財シリーズその2

          らーめん屋さんの「AFURI」という商標をめぐってここ数日ニュースになっています。 「ラーメンと動物は視聴率を取るんだなぁ」が、ガースーこと元日テレの菅賢治氏の名言として知られていますが、実際、弊所noteでも、ラーメン知財の記事が最も読まれているところでありまして(その記事はこちら↓)、今回もそれについて詳しく調べていこうということです。 1.事件の概要整理公開されている記事から時系列にそって状況を整理していこうと思います。 まず、らーめんのAFURIについては、「なん

          地名にちなんだ商標はなぜ炎上する?~AFURI商標事件を例に~ラーメン知財シリーズその2

          怪談の著作権は誰のものか?弁理士が怪談知財を考える

          夏の暑い時期に寒気がするような怪談をひとつ、ではございませんが、ちょうど一年くらい前にこういったもめ事がございました。 Amazon primeで配信されていたエンタメ~テレの番組「超ムーの世界R」で芸人のキック氏が披露した怪談が他人の著作権を侵害しているというのです。 作家の小原猛氏の著作物である書籍の内容をそのまま用い、番組側も著作権侵害である可能性が高いと判断して配信を中止したようです。 沖縄の小原氏といえばこの怪談界隈では有名ですから、普通はパクってしまおうとい

          怪談の著作権は誰のものか?弁理士が怪談知財を考える

          「生成AIの活用にはリスク回避のために創作過程の記録などが必要」?日本弁理士会による論点整理を振り返る

          日本弁理士会で報道関係者を相手に「生成系AIと著作権法における論点整理」というのための説明会が開催されたみたいです。 Yahoo!ニュースにもなっていました。 今回の記事では、特に生成AIによる生成物の著作権発生可能性について言及されているようです。 「論点整理」と保険をかけているだけあって、内容としてはみなさんご存じのもので、正直周回遅れ感は否めません。すでに去年の秋ぐらいから活発に議論されているものではあります。 そもそも弁理士と著作権法と関係あるの?という方もいらっ

          「生成AIの活用にはリスク回避のために創作過程の記録などが必要」?日本弁理士会による論点整理を振り返る