スマトラ島の温泉をめぐる旅 2日目 インドネシア最西端ウェー島の温泉
インドネシアの国民歌「サバンからメラウケまで」で歌われる最西端の地、それがサバンだ。
アチェから40キロほど、高速船で1時間くらいで着くウェー島にある。
朝一番の高速船は8:00に出ると聞き、7:30前にウレールヘウエ港に着いた。発音が合っているか自信なし。
まだ暑くなる前で、久しぶりにかぐ潮の香りが心地良い。
チケット売り場で早速客引きにつかまり、現地でレンタルバイクを借りることにした。24時間で100,000ルピア。船の値段と同じだ。
たぶん今日中に0キロメートルの碑も温泉も全部まわってしまうことになるだろう。
ウェー島行きの船に乗る
船は結構大きい。
全席指定で寒いくらいに冷房が効いている。そしてインドネシアの大御所ロックバンド「デワ19」の音楽がかかる中、弁当売り、お菓子売り、飲み物売りたちが大声で叫びながら所狭しと営業に大忙しだ。
島に渡るのだと気分が高揚するのを抑えるように、周りの様子を観察する。
船はスピードボートにしては揺れた。それでも船に弱い人でも船酔いしないくらいの軽い揺れだ。
港に着くとアチェの港の客引きから引き継がれた男が近づいてきて、バイク乗り場に連れて行ってくれた。100,000ルピア(1000円)払う。
念入りに日焼け止めを塗ってから、まず向かうのはkilometer 0(0キロメートルポイント)。行きにくい場所、遠いところから先に行くのがわたしのやり方だ。
しかし、道を間違えて元来た港に戻ってきてしまった。そんなことを2度繰り返し、今度こそはと慎重に進んだら、なぜか全然違う海岸に出てしまった。
偶然にも、そこは温泉の近くだった。Pantai Pasir Putih (白い砂海岸)という魅力的な地名だ。
ケウネウカイ温泉
温泉は海沿いにあるはずだと道を聞きながら進むとあった。しかし、焼きつきような輝く青い海に目が釘付けになってしまう。
色とりどりの舟、熱帯の濃密な緑、全てが混然一体となって迫ってくる。一体どうしたことだろう。美しいはずなのに怖いほどに力強すぎるのだ。
この景色を見ながら温泉に入れればどんなによかっただろうか。
残念なことに、この温泉は高い堤に遮られ、眺望はない。
早速水着に着替えて温泉に入ってみる。
ぬるい。
37度くらいだろうか。それでも浸かっているうちにポカポカしてきた。
味も匂いもしないので単純泉と思われる。これだけ海の近くにありながら、塩分がないのはすごい。
そして、池の底からコンコンと湧き出しているようで、素晴らしく透明感がある。
柔らかいいいお湯だ。
温泉から上がり、次の温泉を地図で調べていたら、気になる表示が目に入った。「Nippongun Kyuryo yosai (日本軍丘陵要塞)」と書いてある。
温泉から100メートルちょっとのようなので行ってみると、確かに砲台のような円型の土台があった。
方角的には、アチェ方面を見張る位置にあり、アチェとウェー島の間を抜けてスマトラ島とジャワ島の裏側を通る船を見張っていたのだろう。
そんな船はほとんどなかっただろうし、かなり暇な勤務地だったのではないだろうか。毎日温泉に入っていたかもしれない。
近くにもう一つ温泉がありそうだったので探してみた。今度こそ海を見ながら入れるかもしれないと思ったのだ。
この辺じゃないかという砂利の細道を歩いて海の方に降りていくと、あった。
源泉を建物で覆っていて入れないようにしている。
建物の壁からパイプでざぶざぶお湯が流れているので、触ってみるとかなりぬるい。30度くらい。
ここは入らずに次の温泉に向かう。
途中に強烈な硫化水素の匂いがする場所があり、地図を見るとKawahとあるので火口があるようだ。遠目には川が削り取った谷地のように見えたので、温泉があるかもしれないと思い行ってみた。
行ってみると、そこには地獄景観が広がっていたものの大地は乾いており、温泉はなかった。
温泉はやはり貴重なんだと実感した。いくら火山の熱が地表にあったとしても、そこに入り込む水源がなければ温泉は沸かない。日本とインドネシアが温泉大国なのは、火山にプラスして水が豊富だからだろう。
ジャボイ温泉
地獄景観の山はジャボイ火山という名の活火山だ。そして温泉にはこの火山の名前がついている。
横道に入っていくと右手にプールが見え、茶色いお湯が溜まっているようだ。
誰もいない。仕方ないので水着に着替え勝手に入ることにする。
お湯を舐めてみると歯がギシギシする。ということは、多分マグネシウム硫酸塩泉だろう。茶色い見た目と、炭酸カルシウムのような膜が張っているところから土類泉のように見えたが、析出物はないし味も違う。茶色は鉄のせいだろう。鉄の味がする。
高温の湯船にじっくりと浸かる。ガツンとくるお湯だ。気持ちが良い。42度は、ある。腰が痛いのでちょうどよかった。
0キロメートルポイント
汗が引くのを待ち、今度こそはと最西端の0キロメートルポイントに向かう。
いつも南半球にいるのに、今はギリギリ北半球にいるせいなのかもしれない。道を曲がるときになぜが逆の方向に曲がってしまうことに気づいた。
その間違い癖に気づいて意識しだしてから大丈夫になった。
30分ほどクネクネ道を登ったり降りたりしながら進むと土産物屋が並ぶ場所に着いた。5000ルピア(50円)払い奥へと進んでいく。
バイクは途中までしか行けず、駐車場に停めさせてもらった。
でもなんで服屋ばかり並んでいるのだろうか。それもどの店も同じタイプの服ばかり売っている。
土産物街をさらに奥に進んでいくと、右手に馬鹿でかい鉄塔のモニュメントがあった。
インドネシア人はこういうのが好きだからしょうがないけど、毎回これはやめてほしい。
記念撮影をしてみる。
海の果てを見ようと海べりに行ってみると、何もないはずの海に島影が見える。
ここは最北端じゃなかったのか?サバンの西に島があって、本当の最西端はサバンじゃないと知ってたけれど、北は何もないと思っていた。
そばにいた軍人に、あの島はインドネシア領か聞いてみたら、果たしてインドネシア領だった。住人はおらず軍が駐留しているそうだ。
行けるのか聞いたらダメだと言っていた。残念。
ホテルに戻ってから調べてみたら、Rondo島というインドネシア最北端の島だった。サバンは観光客もそれなりに多いし、最西端を目指してくるくらいの人たちなので、上陸を許すと大挙して押し寄せてきて収拾がつかなくなるのかもしれない。
いい加減お腹が空いてきたので、サバンの街に向かうことにした。ホテルはたくさんありそうだから適当に探せばよい。
サバンの街は古いのか新しいのかよくわからない。潮風を受け劣化が激しいのかもしれないし、本当に古いのかもしれない。
ウェー島で最も賑やか場所が、アチェの対岸ではなくインド洋側を向いているのは興味深かった。
アチェコーヒーを飲む
ついに飲みたかったあの派手なアクションのコーヒーに出会ってしまった。Kopi tarik(引っ張るコーヒーという意味)というらしい。
動画を載せられないのがとても残念。やり方がわからないんです。すいません。
ヘビーメタルの爆音が鳴り響くなか、気合の入った目つきをしたマスターが流れるような動きでコーヒーを抽出している。
一体どういうコンセプトのカフェなんだろうか。映像を撮っていいかと聞くと、サムライのように無言でうなづいてきた。
激しく入れるのでコーヒーは泡立つ。
一度抽出したコーヒーをさらに豆のフィルターを通し、それをもう一度やる。3回コーヒー豆を通過していることになる。
家に帰ったら自分でもやってみようと思った。濃く苦くなると思うが、香り的にはどうなんだろうか。
夜の街
夕食を食べようと思い、まず海沿いに行ってみた。イカンバカール屋台や、海辺の絶景レストランがあるんじゃないかとと期待していたが、イメージと違ってバンドンにもあるような普通の屋台料理やワルンしかなかった。
仕方なく、昼に行ったコーヒー屋のあたりが中心街なので行ってみる。
すると、インドネシアの地方の街で見かけるような、夜市風の屋台街やカラフルに点滅させた安っぽい遊具類が目に入った。
やっぱり田舎の夜はこのお祭り感だよ、と1人で満足しながら、ミーアチェを食べた。イカ味にした。お祭り感に影響されたのは間違いない。
明日は朝の便でアチェに戻ります。
コーヒー屋
Aci rasa coffee
Address: Jl. Laksamana Malahayati, Kuta Barat, Sukakarya, Kota Sabang, Aceh 24411
Hours: Open ⋅ Closes 11.00 pm
本日の観光マップ