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他者に記憶をあずける


今日は美容室へ行きました。
美容師さんとはもう長い付き合いです。通い続けて20年は経っています。

特に変わった髪型をするわけでもなく、いつも通りのカットをするだけです。私の髪質や髪のボリュームなど全てわかってくださっているから、何にも言わなくても、おまかせ安心なのです。
私は、洋服買うなら〇〇さん、美容師なら〇〇さん、整体師なら〇〇先生、という風に決めていて、もう何年もお店の浮気なしです。
飲食店は、色々冒険します。仕事で携わった業界ならではかも知れませんが、アンテナはって色々巡ります。

いきつけのお店は、私の好みや私の背景をわかってくれていて、居心地が良いです。
サービスを受ける際に、色々おしゃべりしているのを、私の(勝手に)専属担当者達はほとんどをを覚えてくれています。
買い物以上に、私はその方達に会いに行く方が目的になっているかも知れないです。

私が悩んでいるときなどに、美容師さんが、ふと、
「〇〇ちゃん(私の名)は、昔こう言っていたよね?」
と、思い出させてくれたりします。
昔の自分自身の言葉なのに、今の自分を励ましてくれたり、夢を思い出させてくれたりする体験を何度もします。

ここで思い出すのが、私の宝の本のひとつ、
ミヒャエルエンデさんのはてしない物語です。
子供にも大人にも読み続けてほしい、終わらないファンタジー物語です。ネバーエンディングストーリー。ほんとに。


上巻:バスチアンは本を読む少年
   主人公は勇敢な少年アトレーユ

下巻:バスチアンが物語の中に入り冒険する
   アトレーユと友達になる

下巻の話にはなりますが、主人公のバスチアンは本の中に入り、自分の望みが叶うたびに、現実の自分の記憶を一つずつ失っていきます。現実世界ではコンプレックスのかたまりのバスチアン。物語の中では欲しいものが願えば手に入ります。バスチアンは、見かけを良くしたり強さを手に入れたくて欲望のままに進み、だんだんと孤独になっていきます。
本当に大切な物を失う怖さ…とは。。。
アトレーユの記憶のありがたさ…。


友人が覚えてくれている私自身の事を聞いたときに、人に話しておくものだなぁとつくづく思うのです。特に、夢や目標などですね。
落ち込んだり、悩んだりするときに、何度も救われました。

そのメッセージは、昔の私自身からの贈り物だともとらえられるし、私の事(性格、行動、発言)を覚えてくれている友人がいる事はとても大切な宝だなと思います。


先日かなり久しぶりに会った友人が、亡くなった私の母とのさりげない思い出も話してくれました。ちょっとしたことだけれど、友人の記憶の中に私の母が生きていたこと…嬉しかったです。私は思い出させてもらってとても温かい気持ちになりました。

確かにそのエピソードは私の記憶の中に眠っている物でした。思い出してないだけで、忘れてなかったです。
と…なれば…
千と千尋の神隠しの台詞でも出てきますね。


「一度あったことは忘れないものさ思い出せないだけで」by銭婆


私の記憶にも、友人達と過ごした事など思い出がたくさん残っているから、その人が必要だと感じた時には、私からその記憶を言葉にして伝えてあげたいと思っています。

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