小説「ファミリイ」(♯33)
四回生に上がる直前の三月の終わりから四月にかけて、僕は東京で円滑に就職活動を行うために、実家に長期滞在をすることになった。このころ僕はテレビ番組の制作会社なども受験し始めていて、ようやくいくつかの会社の一次面接を突破し、二次、三次へと駒を進めていたのだ。そのほかのテレビやコマーシャルの制作会社の選考も並行して受けていったので合計二十日ほど滞在をしていた。映画サークルで定期的に開催していた上映会に関する雑務や、ほとんど単位を取得していたとはいえ、まだ所属しているゼミの研究発表