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となりのトトロを親目線で観るとみえてきた、心に響くシーン

ジブリ作品が好きだ。特にとなりのトトロは何回観たかわからない。

ジブリはメッセージ性の強い作品が多いけど、「となりのトトロ」「魔女の宅急便」「耳をすませば」のように、主人公に感情移入できるストーリーが私は好き。

トトロは私と同じ1988年生まれ。同い年だ。小さい頃から何度も観て、そして大人になりこどもが生まれてまた何度も観る機会が増えた。

親になってから観るトトロは、考えさせられるシーンがいくつも散りばめられていることに気づく。こんなこと昔は思わなかったのに、今はなぜか心に響くシーンが増えたのだ。

まず思うのが、
“サツキとメイのお父さんはすごい”

妻が入院する中、田舎に引っ越してきて講師として遠方の大学に通いながら、傍らで翻訳の仕事もして、家のこともして、2人の娘を育てる。私なら、環境の変化とワンオペ育児と周りに友達がいない現実にいっぱいっぱいになり、もう無理ぃーーーと発狂してしまいそうだ。

すぐにいなくなったり、ちょっと余計なことをしちゃうメイにイライラしてしまいそうなところを、お父さんは優しく接しているのが印象的だった。

私の涙腺が緩んだシーンは、メイがトトロに遭遇したあとお父さんとサツキに証明して見せるため、草の茂みのトンネルを走って案内しようとするも、トトロのいたところにはもう繋がっていなく、何度行っても同じ場所に戻ってきてしまうシーン。

アハハと笑うお父さんとサツキに、「ほんとだもん!ほんとうにトトロいたもん!嘘じゃないもん!」と涙目で言うメイに、

「うん、お父さんもサツキも、メイが嘘つきだなんて思っていないよ。メイはきっと、この森の主に会ったんだ。それはとっても運がいいことなんだよ。でも、いつも会えるとは限らない。」

と優しくお父さんは返すのだ。


私は同じようなことがあったら、とっさに息子にこんなふうに声をかけてあげられるだろうか?

メイの気持ちに否定せず寄り添い、信じてあげる。そしてなぜそうなったかを考えてあげる。

このお父さんのメイに対する言葉と態度は、すごく理想的でいいなと思ったのと同時に、メイの気持ちになって考えてもなんだか泣けてくる。

親と子の立場、どちらの気持ちもわかるからグッときた。

「そんなのいないから~」「夢でも見たんだよきっと」などと言わず、まずは聞いて寄り添ってあげるような親でいたい。


続いて、サツキとメイのお母さん。出番は少ないけど、それでもしっかり素敵な母親像の印象を残している。

3人でお母さんに会いに自転車で病院まで行き、病室でサツキとメイとお母さんが話しているシーン。

「新しいおうちはどう?落ち着いた?」と聞き、サツキがヒソヒソ話で打ち明け「えっ!お化け屋敷!?」と驚くお母さん。
「お母さんお化け屋敷好きぃ?」と聞くメイに

「もちろん!早く退院しておばけに会いたいわぁ」とお母さんは言うんです。

この反応、みんなできますかね。

私なら「えっ!?おばけ!?無理無理えっ怖いちょっと待って・・」となってしまう絶対に。せっかくの新居におばけが出るなんて聞いた暁には、引っ越したてでコレ?聞いてないんですけど、となるところを、こどものワクワクした気持ちを踏みにじることなく、ほっとさせるような言葉をかける。

お母さんの鑑・・

そのあともサツキが「よかったね、メイ! 心配してたの、お母さんがおばけ嫌いだったなら困るなって。」と続くので、ここで私のような反応してたら2人をションボリさせてしまっていたに違いない。

子どもの心に寄り添うってなかなか難しい。
サツキとメイのお父さん・お母さんはそれを自然にやってのけている。


それと、男の子の母として見て、カンタのお母さんの言動もなるほどなと思うところがある。

サツキとメイが、カンタに借りた傘を家まで返しに行くシーン。
その直前に、なくしたのーというカンタに「雨が降ってるときに傘をなくすバカがいるかい!どうせ壊しちゃったんだよ」と叱っていた。

そして傘を返しにきたサツキが「この傘、カンタさんが貸してくれたんです」と言うと、

「へえ、あの子が・・、やだよこんなボロガサ。」

「メイもいたからとても助かったの。でもカンタさんが濡れちゃって・・・。ありがとうございました」

「いいのよーいつだって泥だらけなんだから。ちったぁ綺麗になるでしょ!」

と返すのだ。

この返し、、、やんちゃな男の子の親としてとても参考にいや、いや、もちろん価値観はいろいろだけど、お礼を言うサツキに対して、「ええ!?へへっ、カンタえらいじゃーん!」とデレッとならずに、気を使わせないくらいサラっと返している。

サツキの母とはまた違う「おかん」的お手本。いいよね。

そのほかにも「崖の上のポニョ」に出てくるそうすけの母リサや、「天空の城ラピュタ」に出てくる海賊のドーラ(息子がたくさんいる)も、ジブリに登場する母というのは、いずれも強さを感じるような人物ばかり。

「魔女の宅急便」に出てくる、まだ妊婦でこれから母になるオソノさんですら、すでに肝っ玉母ちゃん感を醸し出している。

昔はそんな目線で見なかったのに、環境が変わるだけでとらえ方・見方も変わるんだからおもしろい。

これがディズニーだと、お母さんといえばイジワルな継母だったり、死んでしまっていたり、生き別れになったり・・・特にプリンセスものだと訳ありが多いので、あまり母親のひととなりを感じることができない。
とはいえ、ピクサー作品や最近のものはずいぶんと変わったのでおなじみのイジワルな継母設定は減っているように思うけど。(最近ディズニー追えてない・・)

というわけで、話はそれたけど私が映画となりのトトロの好きなポイントを書いてみた。


そして私に負けないくらいトトロ好きなのが、我が息子。

手のひらサイズのトトロのぬいぐるみを生後半年くらいのときに買ってあげてから、もうすぐ6歳になる今の今までいつも一緒にいて大事にしている。

無造作にほっぽり出されてたり、ベッドの隙間にぺしゃんこに挟まってたり、少々扱いがひどいときもあるけど、彼の精神安定剤のようにニギニギされている。


おさんぽも
寝る時も
なんか美術展行くときも
体調悪いときも
真冬の雪の中でも
北海道のばーばのおうちでも
ラベンダー畑でも
おうちでゴロゴロしてるときも
ドライブのときも
海外旅行のときも
七五三撮影でも

赤ちゃんのときから今に至るまで、いつも一緒にいるトトロ。

もう4月から小学生なので、そろそろトトロ離れするかなとヒヤヒヤしている、さみしくて。
でもこの「そろそろトトロ離れしそう」の予感から2年くらい経つがしぶとく離れずにいるので、笑ってしまう。まだ大丈夫そう。

息子が大人になってもトトロをどこでも一緒に連れて行ったこと、覚えてるんだろうか。
私と同じように映画となりのトトロを観て、何か感じる日がくるのかな。

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