ちょっと疲れているんだ
楽しみにしていた日曜劇場「アンチヒーロー」最終回当日。
みるぞ!
楽しむぞ!
と鼻息荒くしていた私。仕事から帰ってシャワーを浴びてご飯の準備をし、旦那さんと「鬼滅の刃」を視聴後(一緒に観ているので)やっとみるぞ!
そう思った頃には私の体の電池が切れていた。気が付いて半目を開けるとドラマはクライマックスに向けて公判が始まっていた。AM1:30。どうやら私の体はちょっと疲れていたらしい。
仕事の帰り道は楽しみすぎて主題歌のhanatabaまで聞いて帰ってきたのに。
次の休みにあらためて楽しもう。
怪しさ満点の新人
接客でしか手に入らないもの
市販薬のプロと言われている医薬品登録販売者。
資格を取ってからかれこれ6〜7年が経とうとしている。始めて店頭に立った時には10年以上もしくは20年選手と思われる位、経験値と知識が豊富なスタッフと一緒に働いていた。
その頃は何の経験値がない自分が医薬品に触る日なんてほぼなく、遠くから
毎日医薬品コーナーを眺めていた。時々、人の接客をこっそり見てはメモを取る。
はたから見れば怪しさ満点。
でもそれくらい接客の経験がない私には必死に接客でしか手に入らないものが欲しくてたまらなかった。
キャリアの長い人は良くも悪くもプライドがあって、新参者の私にやさしい人もいれば、あからさまに何も教えない人もいた。
適当にあしらう人もいた。
十人十色とは、まさにこの事か〜。
教えてもらえないから、何もできません。
と言い訳したくなかったから、とにかく必死に勉強してみた。
悩みに悩んでいた頃
とはいえ、現場で勉強するにしても、家でテキストを広げて知識を得るにしても。当時の私は、膨大過ぎる市販薬についてどこから、どう手をつけていいか分からなかった。
(今も理解できていないことは勿論、たくさんたくさんあります。)
現場の上司に「どう勉強したらいいか悩んでいます。同じような経験値の人はどうやって勉強していますか」
勇気を出して相談したら「他の人に聞いておくね」と言われ、そのまま終わった。
今にして思うと、間違っていたのかもしれない。
質問する相手も、他力に頼ろうとした自分も。
そんな風にして1年目はあっという間にすぎてしまった。
はじまりは失敗から
恐怖のスパルタレッスン
その後上司が変わり医薬品に熱心な方が現場の上司になった。今の私があるのは、その上司との出会いがあったからだと思う。
どんどん接客してください。と経験値の浅い私にも接客をさせてくれた。経験の浅さから、どうしてもスマートにやり取りできずに時間が掛かってしまう事もしばしばあった。
そんなある日、接客した後に上司に呼び出され「今の接客で間違った情報言っていた。何が間違っていたか分かる?」
しどろもどろになる私に、痺れをきらした上司。
関連性のある医薬品をバッと数点売り場からもってくると
「これを1分で分類してみて」
え?分類?
間違いと何の関係があるの?
1分?時間少なくない?
疑問ばかりが頭をよぎった。
でも今ならなんとなく分かる。
この上司が何を私に言いたかったのか。
失敗の先にスタートライン
分類は散々だった。
ほぼ、ほぼ出来ていなくてイチから説明を受けた。
そしてお客様に提案したことがなぜ間違っていたのか、分類をやってみてわかった。
成分の理解、商品の知識、お客様への聞き取り。
私にはどれも欠如していた。
じゃあここからどうすればいいのか。
上司は言った。
「怖がらずに接客し続けた方がいいよ」
勿論、その前に基礎は固めた方がいいと思う。そのサポートはする。
自信がなく不安な時は販売につなげない言葉も準備しておいた方が良い。
そんな言葉をかけてくれた。
経験でしか手に入らないもの
必要な知識・大切な情報
職業に関わらず、仕事に関わる知識や情報、スキルの手に入れ方は様々だと思います。
医薬品登録販売者の資格の温度差は、現場や企業によって違うかもしれません。市販薬にはどんな知識が必要で、どんな姿勢でお客様に接したらいいのか、悩みや不安は尽きないけれど、経験に優るものはないと思います。
今の職場は明るくて忌憚なく、
「こんな接客したよ。」
「○○が分からなかった、こういう時どうする?」
そんなやりとりが繰り広げられる。
人間関係によっても成長できるきっかけは変わるのかもしれない。
現場で成長するってもしかしたら凄いこと。どんな本にも載っていないリアルな体験談。今の職場に異動してから明るくやり取りされる情報共有の全てが宝物。
環境に育つスピードが大きく左右される資格かもしれないと感じる。
1年目、接客できない日は家で1人机に向かって勉強していた。
他にも色んな手段や方法で得たもの、出会い。
全部無駄じゃなかった。
あの時のわたし、頑張ってくれてありがとう。
支えてくれた皆さん、ありがとう。
スパルタさん、ありがとう。
真面目すぎてつまらないと言われたこともあったけど、頭を捻って逆さまになっても私は生まれ変われなくて、やっぱり私は私のままだった。
年数を重ねると肩の力が抜けてきて、まじめの程さ加減がわかり始めた。ただ自分のほぐし方は未だに手探りだ。
『ちょっと疲れてるんだよね』
そんな風に気軽に言ってもらえる存在になりたい。
目の前にいるお客様に誠実でありたい。
残りの時間もがんばろう。
後悔や宿題は山のようにあるけど、今は誠実さを大切にしたい。
6年前のわたしへ宛てた、長い長いつぶやき。
そして今新人で店頭に立っている方も、いつか花開いていきますように。