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読後寸評

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読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
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#岩波書店

話題の本‼️「検証ナチスは「良いこと」もしたのか?」

話題の本‼️「検証ナチスは「良いこと」もしたのか?」

本(検証ナチスは「良いこと」もしたのか?)(長文失礼します)

第二次世界大戦やホロコーストを引き起こしたナチスが、逆に「良いこと」もしたのかについて検証した本です。この本、話題になっていると新聞記事で読み、早速買って読んでみました。共同筆者の小野寺拓也さんは東京外国語大学准教授で、田野大輔さんは甲南大学教授で、長年ナチスの研究を続けている歴史学者です。

この本を書くきっかけになったのは、予備校

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日本の#MeToo のきっかけとなった伊藤詩織さんのエッセイ集「裸で泳ぐ」

日本の#MeToo のきっかけとなった伊藤詩織さんのエッセイ集「裸で泳ぐ」

本(裸で泳ぐ)

性被害を実名で公表して加害者を提訴したジャーナリスト伊藤詩織さんのエッセイ集です。前作の「Black Box」がジャーナリストとしての観点から、客観性を重視した冷静な文章だったのに対して、今回はエッセイというスタイルで、筆者の本音の部分が多く語られています。

筆者は25歳だった2015年4月3日に被害に遭い、7年後の今年に出版されたこの本には昨年6月からのエッセイが掲載されてい

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絵本のようなわかりやすい脳トレ本「解きたくなる数学」

絵本のようなわかりやすい脳トレ本「解きたくなる数学」

本(解きたくなる数学)

かつて電通のCMプランナーとしてNECの「バザールでござーる」などを手掛けた佐藤雅彦さん著の本です。退職後に独立、1999年から慶応義塾大学の教授を務め、その研究室の学生だったOB2名との共著になっています。ちなみにこの研究室はNHKの「ピタゴラスイッチ」のドミノ画像も制作しています。

この本を見つけたのは新聞広告で、先ずタイトルに惹かれました。こうした能トレ本は好きで

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東京湾に新東京駅計画‼️の回顧「丹下健三都市論集」

東京湾に新東京駅計画‼️の回顧「丹下健三都市論集」

本(丹下健三都市論集)(長文失礼します)

世界のTANGEといわれた建築家丹下健三(以下敬称略)の都市論集です。以前読んだ建築論集と二巻構成の姉妹編であり、建築家と同時に都市計画家でもあった丹下の論文集となっています。

内容はⅠ都市の再建、Ⅱ東京改造計画、Ⅲ巨大都市の未来の3章で構成されています。Ⅰ章では終戦からの都市の復興と再建、Ⅱ章では東京改造計画の具体例としての東京計画―1960、Ⅲ章で

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世界のTANGEの論文集「丹下健三建築論集」

世界のTANGEの論文集「丹下健三建築論集」

本(丹下健三建築論集)

世界のTANGEといわれた建築家丹下健三(以下敬称略)の建築論集です。戦後建築界を牽引したトップ建築家の建築論で、建築家の文章は難解だとよく評されますが、筆者が若干26歳の時に書いた最初の「ミケランジェロ頌」はさすがに読みながら難解だと思いながらも、その他の論文は勿論平易な文章ではありませんが、難解な印象でもなくきわめて理論的に主張が述べられていたと思います。

個人的に

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