マガジンのカバー画像

読後寸評

94
読んだ本で感じたことを綴っています。 好きな作家はラディゲですが、最近よく読むのはジェンダー論。A4用紙1枚程度で、800〜1000字程の感想文です。
運営しているクリエイター

2022年9月の記事一覧

食べることは生きることを実感する本「ランチ酒」シリーズ(^^)

食べることは生きることを実感する本「ランチ酒」シリーズ(^^)

本(ランチ酒おかわり日和)(ランチ酒今日もまんぷく)

昼飲みの小説「ランチ酒」シリーズの2作目と3作目です。見守り本舗に勤める女性主人公が、依頼人の自宅へ赴いて夜から朝までの見守りを終え、仕事帰りの1杯がランチと一緒に飲むお酒であり、これがランチ酒ということになります。 

1作目ではこうしたランチ酒に登場する様々な店の名物料理が紹介されたグルメ小説と、依頼人の人生模様を主人公の生き方とオーバー

もっとみる
言葉とコミュニケーションについての哲学者のエッセー集「言葉の展望台」

言葉とコミュニケーションについての哲学者のエッセー集「言葉の展望台」

本(言葉の展望台)(長文失礼します)

哲学者による言葉とコミュニケーションについてのエッセー集です。筆者の三木那由他さんは京都大学大学院を経て、現在は大阪大学大学院の講師をしています。
本書は文芸雑誌の「群像」に連載されたものを1冊にまとめたもので、哲学者の文章というと難解な物と思いがちですが、言葉とコミュニケーションを研究する哲学者のエッセーとの新聞書評を読んで興味を持ったので、読んでみること

もっとみる
人生の別離を描いた短編集の直木賞作品「夜に星を放つ」

人生の別離を描いた短編集の直木賞作品「夜に星を放つ」

本(夜に星を放つ)(ネタバレありです)

今年下半期の直木賞受賞作品です。同時に発表される芥川賞は文藝春秋で読んでいますが、直木賞の方はオール讀物では全文が掲載されないので、単行本を買ってまで全文を読む機会はなかなかありませんでした。
ただ今回はその書評を読み、冒険物や時代活劇ではない内容に惹かれ、単行本を買って読んでみました。

本の題名は短編集のもので、各タイトル5作品が収められており、タイト

もっとみる