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41.目的とは?目標とは?

記事を読んでいただきありがとうございます。
前回は、「時間の価値」について、お伝えしました。

施設長をしていると、会社から施設の目的や目標を聞かれることが多くなってきます。しかし、皆さんはその目的・目標に明確な違いがあることをご存じでしょうか?

目的と目標の違いについて

「目的」と「目標」は似ているようで異なる概念です。
経営者でも混同している人が多いですが、施設長の皆さんも正しく理解することが重要です。
目的とは「どうなりたいか」という想い、つまり志です。
それに対して、目標とは「目的を達成するための具体的なゴール」のことを指します。
目的に対して目標はいくつも存在することがありますが、目標に対して目的が複数あることはありません。
例えば、デイサービスの目的が「利用者様の笑顔を増やしたい」だとします。そのためには、多くの人に利用してもらうことが重要です。
そこで、「月900名の利用」という数値を目標として設定します。
このように、目的は志であり、目標は数値化されたゴールと考えると分かりやすくなります。

目標が目的にすり替わる危険性

「目的と目標を厳密に区別する必要があるの?」と思うかもしれません。
しかし、これを曖昧にすると、「目標」が「目的」にすり替わり、組織の運営や成長に大きな影響を与えてしまうことが多々あります。

目的がすり替わるケース

1. 利用者数の増加が目的化する場合
本来の目的が「利用者様の笑顔を増やす」ことだったのに、「月のべ900名の利用」という目標が目的に変わると、単に900名を集めることが最優先となり、スタッフが無理やり追加利用を促し、利用者様の満足度が低下する可能性があります。
2. IT導入が目的化する場合
企業が業務効率化を目的としてITを導入することを決めたとします。しかし、IT導入自体が目的になると、システムを導入しただけで満足し、本来の業務改善が進まなくなる可能性があります。IT導入は手段であり、目的は「業務効率化」であることを忘れてはいけません。
3. 叱責が目的化する場合
部下がミスをした際に上司が怒ることがありますが、怒ることが目的になると、感情的に怒ることが常態化し、ミスを防ぐという本来の目的が失われます。本来の目的は「同じミスをさせないこと」であり、怒ることはそのための手段に過ぎません。
4. 資格取得が目的化する場合
「良い大学に行くこと」や「資格を取得すること」自体が目的になってしまうと、大学で何を学び社会でどう活かすのか、資格取得後にどのように活用するのかといった本来の目的を見失いがちです。当社の社労士の先生も、「社労士の資格を取ることが目的になり、その資格をどのように活かすかを考えていない人が多い」と指摘しています。これはまさに、目的がズレた典型例と言えるでしょう。

目的は変えてはいけないが、目標は変えてもよい

「初志貫徹」と「朝令暮改」、どちらが正しいのでしょうか?
初志貫徹とは、一度決めたことは最後までやり抜くことを意味します。
一方、朝令暮改は、状況に応じて計画を柔軟に変えることを指します。
どちらがあっているのでしょうか?
答えはどちらもあっています。
これは、変えて良いことと悪いことがあるからです。
目的、つまり志はちょっとしたことでは変えてはいけません。目的がブレると信頼を失い、組織の軸が揺らぎます。
しかし、目標や手段は柔軟に変更しても問題ありません。
「あの人は、言ってることがコロコロ変わる」と言う場面があった時、「言ってること」に注目してください。
「言っていること」が「目的」なら問題ですが、「目標」や「手段」であれば何も問題ないのです。

目的とは最終的に「どうなりたいか」を示すものであり、目標はそのための具体的なゴールです。
目標が目的にすり替わると、本質を見失ってしまいます。
そして、目的は変えてはいけませんが、目標は状況に合わせて柔軟に変更すべきです。
もし迷ったり悩んだりしたときは、一度立ち止まって「この行動の本当の目的は何か?」を考えてみることも大切です。
それだけで、進むべき道が明確になるでしょう。


まとめ 目的と目標の違いを確認し、自分の行動と照らし合わせる