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フランス映画シリーズ

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フランス映画を熱く推しています。あかるくたのしい作品からダークなものまで。
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記事一覧

【映画感想】 『美しき仕事』 Beau Travail - クレール・ドゥニの隠れた傑作

ああああああああ 良い映画を観た。 すごい映画を観た。 クレール・ドゥニってこういう鑑賞後感あるんだよなああああ だから好きなんだよなあああ 捻りも変哲もない直訳の邦題だけど、ロゴすら美しい。 ロゴデザイナーの端くれとして惚れ惚れするタイポグラフィ。 そしてそして、主演はあのドニ・ラヴァン。 そう、カラックス青春三部作(『ポンヌフの恋人』『汚れた血』など)で有名なあのドニ・ラヴァンですよ!!!! おっさんになってるかと思いきや、いやおっさんの役なんだけど、身体はキレ

【フランス映画紹介】 あまりにもマイナーなゴダール映画3選

二本目以外はわざわざ劇場へ足を運んで観たのだけど、ゴダールオタクを豪語するわたしでも「?」な作品ばかり。 それでも集客ができるのはゴダールはブランドだからである。 わからなくてもいいのだ。 畏れるな、感じろ。 #01 『ジャン=リュック・ゴダール/遺言 奇妙な戦争』 Film annonce de film qui n'existera jamais : 《Drôles de guerres》巨匠ゴダールの遺作となった作品。 さっぱりわからなかった。 ゴダールにかなり近

【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #07

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。 今回はその第七弾である。 ライトに短編に絞った3作品をご紹介する。 それではスタート。 #19 『あこがれ』 Les Mistons (1958)監督:フランソワ・トリュフォー 主演:ベルナデット・ラフォン 自転車に乗って走り回るベルナデット(ベルナデット・ラフォン)のシーンはもはや伝説。懐かしさすら感じさせるアイコ

【映画感想】 『つかの間の愛人』 L'amant d'un jour - 現代の恋愛についての三部作、最終章

好きすぎてパリの映画館で売っていたフランス語版のDVDを購入したほどの作品、我らがフィリップ・ガレル監督。 フィリップ・ガレル『現代の恋愛についての3部作 Trilogie des amours contemporains』(“La Jalousie”“L'Ombre des femmes”)最終章。 ガレル信者として心待ちにしていた作品。メインとなる女性が二人登場するのだけど、そのうちの一人の喘ぎ声から始まるという大胆なオープニング。タイトル・カットの前に響き渡る喘ぎ声

【映画感想】 『白と黒の恋人たち』 Sauvage Innocence - 久々の "ガレルらしさ" に歓喜の120分

ああそう、これがフィリップ・ガレルなんだよね!!! もの哀しさが残るぶっきらぼうなカット、 不安と切なさをほんのわずか残す残響、 情緒の入り込む隙間もない硬派な映像美に、そのはずなのに胸が締め付けれられる不思議な世界観………… くちっとしてよく締まった口元をもつ、目立たないけどなぜか魅力的な女優陣、これはガレルの他作品にもよく思うんだけど圧倒的に "ガレル主観の好み" が全面的に反映されている、そうかこういう女性がタイプなのかガレルは。 ガレルを観ているとたまに「魅力的

【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #06

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。 今回はその第六弾である。 それではスタート。 #16 『ぼくの伯父さん』 Mon Oncle (1958)監督:ジャック・タチ 主演:ジャック・タチ アカデミー賞で外国語映画賞、カンヌ映画祭で審査員賞を受賞。 監督のジャック・タチ自らが主演を張っていて、"ユロ伯父さん (Monsieur Hulot)" と名のつく愉

【フランス映画紹介】 わたしが知らなかったジャック・リヴェット3選

ヌーヴェルヴァーグの巨匠のひとり、ジャック・リヴェットといえば『セリーヌとジュリーは舟でゆく』『彼女たちの舞台』など、御伽噺的エッセンスを混ぜた脚本と長く巧みなカメラワークが有名だが、他の作品を鑑賞する機会があったのでここで紹介する。 現在『ジャック・リヴェット傑作選』を特集上映中なので、リヴェットに興味のある方はぜひ足を運んでみてほしい。 #01 『パリはわれらのもの』 Paris nous appartient (1961)出演:ベティ・シュナイダー、ジャンニ・エスポ

【フランス映画紹介】 アニエス・ヴァルダの素顔に迫る作品3選 #01

"ヌーヴェル・ヴァーグの祖母" アニエス・ヴァルダの作品を観ていこう週間。もちろんすべてアニエス・ヴァルダが監督したもの。 今回紹介する作品はドキュメンタリーが多いが、物語としては『5時から7時までのクレオ』『幸福』などが有名。詳細は以下。 それではいきましょう。 #01 『アニエスの浜辺』 Les Plages d'Agnès (2008)アニエス・ヴァルダが81歳のとき、自身の半生をもとに撮ったドキュメンタリー。 映画のスタッフたちを紹介する際、鏡をカメラに向けて顔

【映画感想】 『太陽が知っている』 La piscine (1969) - オタク歓喜のご褒美映画

アラン・ドロンとモーリス・ロネのタッグで有名な『太陽がいっぱい』の人気にあやかって無理矢理つけたであろう邦題だが、原題の意味はただの "プール" 。ジャック・ドレー監督。 プール付きの貸し別荘(正確には友人の家)でぐうたらする夏!! ロミー・シュナイダーの艶肌!!! 最高すぎる!!!! 本作は1969年製作となっているが、2015年に本作をもとにしたリメイク映画『胸騒ぎのシチリア』が公開されている。『君の名前で僕を呼んで』で有名なルカ・グァダニーノ監督によるもの。『太陽が

【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #05

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。 今回はその第五弾である。 たくさんあるので、今回もどんどんいきましょう。 #12 『なまいきシャルロット』 L'Effrontée (1985)監督:クロード・ミレール 主演:シャルロット・ゲンズブール 母ジェーン・バーキンと父セルジュ・ゲンズブールを両親に持つシャルロット・ゲンズブール。母親譲りの長すぎる脚、幼さを

【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #04

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。 今回はその第四弾である。 ずいぶん久々の更新になってしまったが、フランス映画にだってあかるくたのしい作品はある。 どんどんいきましょう。 #09 『ラ・ブーム』 La boum (1980)監督:クロード・ピノトー 主演:ソフィー・マルソー とにかく一言。 主人公ソフィー・マルソー、可愛い!!!!!! 日仏ハーフを思

【映画感想】 『ママと娼婦』 La Maman et la Putain - 学生ぶりに観た歓喜の220分

我らが日仏学院(東京館)で上映中の、「ジャン・ユスターシュ映画祭」に出掛けてきた。大好きだったRive Gauche(本屋)が無くなってしまい悲しい限りだが、日仏学院は何十回通っても胸踊る空間である。 『ママと娼婦』は、大学時代にジャン=ピエール・レオー目当てでDVDで観たものの長すぎて見切れなかった作品だった。 今回、日仏学院のシネマテークで上映されると知り、速攻でチケットを購入した。 一言で言えば大傑作すぎた。 監督ジャン・ユスターシュの実体験をベースにいくぶんの虚

『ジャン=リュック・ゴダール 反逆の映画作家』 Godard seul le cinéma - 性善説的リスペクトに満ちたまっとうなドキュメンタリー

観たわよ。 渋谷ユーロスペースのポスターには、監督シリル・ルティ氏のサイン。 知らん監督だったけど、ドキュメンタリーとしては良かった。 ゴダールのドキュメンタリーが上映されると聞いて、「おいおい嘘だろ」ってなったのが本音。「死人に口無し」というか、彼をいろんな解釈で持ち上げて格好付くように小綺麗にまとめられる悪夢を想像した。 わたし自身なんのプロの批評家でもないけどゴダール関連については少しうるさくて、彼の作品に唾を吐いたこともあるし、彼を題材にしたドキュメンタリーに激昂

【フランス映画入門】 あかるくたのしいフランス映画紹介 #03

こちらはフランス映画に馴染みのない読者の皆さんが、「フランス映画って楽しそう!観てみたい!」と感じていただけるよう、明るく楽しい作品を紹介していく試みだ。 今回はその第三弾である。 今回もどんどんいきましょう。 #06 『アデュー・フィリピーヌ』 Adieu Philippine (1962)監督:ジャック・ロジェ 出演:ジャン=クロード・エミニ、ステファニア・サバティーニ、イヴリーヌ・セリ etc. トリュフォーに「ヌーヴェル・ヴァーグ最高の青春映画」とも評された本作