【移植後のワカメご飯】私だけの喜び（ちょっとグロ）

【背景】

骨髄移植は移植前に10日間前後の超大量抗がん剤投与や放射線治療があります。その目的は本人の骨髄を完全に壊滅させることです。

そして、化学療法と呼ばれる抗がん剤は健康な細胞も殺してしまいます。なので、移植後少ししたら、私の場合は胃も腸も粘膜という粘膜が死んでしまいました。

様々な副作用を乗り越えて骨髄移植病棟史上最速で退院できた私ですが、その後も闘いは続きます。

退院して来て1ヶ月は食事は全て加熱された物のみ。果物はバナナなど厚い皮が剥ける物のみ、細菌感染をするリスクがある様々な食べ物は禁止。ナッツ、チーズ、蜂蜜など、実に様々な物が食べたら危険という状態で退院するのが一般的な骨髄移植。

もちろん、退院時に胃の粘膜なども再生してないから、ちょっと飲み物を飲んだだけで嘔吐しやすい。食べ物も同じ。

これは個人差があるが、私は一番吐きづらくて腹痛がマシなのは米だった。

そんな中、もうこういう状態にも慣れた。食事の時に限らずビニール袋は常に手元に置いてある。吐くって瞬間はスピーディーにキャッチ。

工夫しながら、色々日々笑って楽しく過ごしていた。

【ワカメご飯登場♬♪♬】

こんな中、母が私にプレゼントを持って来てくれた。

日本の震災用のインスタントワカメご飯❗️

即完だが、めちゃくちゃ美味い！

インスタントの特殊加工のため、軟飯くらいの柔らかさ。

インスタントなのに、入っているのは適度な塩分とワカメとお米だけでヘルシー😍

味も抜群に美味しい！

適度な塩味とワカメの風味、米の甘さが美味い😋

吐かないようにゆっくりゆっくり、米を噛み締めながら満喫する。

パックは目出たく完食した💕
（一膳未満くらいの量かな？）

もしかして、初の完食？

ほとんどの食べ物は身体が受け付けず、ベビーフードを瓶の３割とか、最近では６、7割食べれるようになって来ていた。

食事の度に腹痛があり、ちょっとスピードが狂うと直ぐに嘔吐する。

自分の身体のサインを見落とさず、ゆっくりと舐めるようにちょびちょびと食べ進め、余裕を持って食べるのを止めても、吐く時は吐く。

それも、結構な頻度で。

喉が渇いていて、水を小さな一口では吐かず、もう半口だけ飲んだら吐くとかもザラにある。

良く分かんないけど、いきなり吐くとか毎日どこかしらである。

移植前は移植に漕ぎ着けるために戦争だし、移植中は抗がん剤などの前処置が戦争。

移植後だって、感染はするし、GVHDなど私の身体が移植した造血幹細胞から作られる新しい骨髄から生まれる免疫細胞に拒絶されて闘いが起きる。

移植後、前処置後の細胞死による症状やGVHDで退院後も闘いは続く。

でも、毎日生きてるだけで輝いている。

楽しい！

食べ物が美味しいとか、本当に最高だ！

久々に嘔吐せずに食べれたと胸を張ってたのも一瞬だった。

吐く......！（と気づく）

常備しているビニール袋で瞬時にキャッチ。

これ、本当に上手くなったよね......（誇らしげな自分に、ちょっと複雑な気分）

が、口を通るワカメご飯は、食べた時と同じ味で美味しい😳

しかも、手元にこのひとパックしかない上に、外で買えるわけでもない。

もったいない！

せっかく頑張って食べたワカメご飯が栄養にならないのも悔しい！

そもそも、粘膜はまだ再生できておらず、胃酸を分泌できない身体なので、食べた状態と何一つ変わらない状態で出てきたワカメご飯ではないか。

見た目も食べる前と変わらない。

【日々の努力】

移植中、食べられない時でも、口に何かしらは含んで出した。

何故って？

微量でも口腔内に残った栄養素は唾液と共に飲み込まれ、それは腸の栄養になる。

腸は１週間絶食すると退化する。これは、組織でも見て分かる。

その退化が起きない方が、再び食べれるようになるのも、食べれるようになった時の食事量も、そもそもの肉体の回復速度も全てが上回っていることは既に知られている。

口から摂取する栄養に勝る物はない。

さっさと良くなってやりたいことが山積みなのだ。

どんだけ頑張って、どんなに辛い中でも実に様々な工夫をして来たことか。

【食べる執念？？】

内心、「どんだけ頑張ってると思ってるんだ！私の貴重な栄養源なんだ！　もったいない😡　こんなに美味しいものは珍しい。せっかくあれ程頑張って食べたというのに、血肉にならないとかあり得ない！　第一、別に消化されてないし、味も作りたてと変わらないじゃん！」

これまで耐えていた感情が吹きこぼれたのかもしれない。

そして、どんなに辛くても継続して来た努力を証明したい？

そんな高度な感情ではなかっただろう。

ただ単純に、色々起きるのがあまりにも当たり前で、相当鈍麻もしているだけかもしれない。

今までも今も何が起きても、どんなに痛みや苦痛を伴っても頑張っている。

この瞬間も頑張っている。

悔しさと......美味しさとに相当目が眩み、試しにビニール袋のワカメご飯を一口味見した。

うん。普通に美味しい。

胃酸が出せない胃袋だったら、普通にただの袋じゃん。

なら、全然大丈夫じゃん。

そして、繰り返すようだが、目の前の超絶美味しいワカメご飯は、手元のビニール袋の中に出来立てのような顔で佇むそれ以外にはもうない。

買うことも叶わない。

じゃぁ、別に良いよね？

出来立ての味と見た目のワカメご飯は、再びゆっくり噛み締めながら私の胃袋の中へと入っていく。

うん。

美味い😋

そして、今度こそはきちんと栄養になり、私の身体を作ってもらう。

【私だけのレア感情⁉️】

笑）２度美味しかった（笑

まぁ、こういうのも良いのかも🤣😅