自分らしく働き続けること、生きること ~ジェンダーギャップを引き起こすアンコンシャスバイアス~
皆さん、「“自分らしく”働くこと、生きること」について普段どれくらい意識していますか?そして、「自分らしく」を実現できていますか?
私たちは、Diversity3.0というコンセプトを掲げ、コーチング×コンサルティングで個人と組織の可能性を引き出し、企業の人材育成・組織課題の解決をサポートするLYL(リール)です。コーチングで個人の思いを引き出し、コンサルティングで組織の成長へとつなげ、企業の組織づくりの長期的な成果にコミットしています。
さまざまな企業のコンサルティングをさせていただく中で、コロナ禍を機に、今まで以上に「自分らしく働くこと」「自分らしいリーダー像」「自分らしい仕事と家庭」など、「自分らしさ」が注目されていることを感じています。
その一方で、「男性だからこうすべき」「女性だからこうすべき」というようなジェンダーギャップを引き起こすアンコンシャスバイアス(無意識の偏ったモノの見方)が、「自分らしさ」を実現する時の「壁」になっていることも見えてきました。
今回のnoteでは、「自分らしく働き続ける、生きる」ためのヒントをお伝えしたいと思います。
―—ジェンダーギャップとは
「ジェンダーギャップ」とは、社会的・文化的に作りだされた性差によって生まれる不平等や格差のこと。
SDGs(持続可能な開発目標⁾では、17ある目標のうちの一つ「目標5.ジェンダー平等を実現しよう」で、ジェンダーの問題を大きく取り上げています。
そして、世界経済フォーラムが毎年発表している世界各国の男女格差を測るデータに「ジェンダーギャップ指数」があります。政治参加・経済・教育・健康の4つの分野で調査し、算出。下の図で見ると「0が完全不平等、1が完全平等」を表しています。
日本は、政治参加や経済の分野で大きな格差があるとして、146カ国中116位。主要7か国では最下位。(前回は156か国中120位)アジア諸国の中で韓国や中国、ASEAN諸国より低い結果となりました。(2022年は7月に発表)
―—日常に気づかぬうちにある‟こうあらねばならない”
「ジェンダーギャップ」と聞くと、ちょっと遠い話、自分とは関係なさそう、と感じるかもしれません。しかし、日常でこうした場面に出くわしたり、会話がかわされていたりすることはないでしょうか?
ここには「育児をするのは女性」「仕事をして家計を支えるのは男性」などの考えが土台にあることにお気づきでしょうか?これが、アンコンシャスバイアスです。
このアンコンシャスバイアスとは、「無意識の偏ったモノの見方」のことです。他にも「無意識の思い込み」「無意識の偏見」「無意識のバイアス」などと表現されることがあります。
たとえば・・・「看護師」と聞いた時に「白衣を着た優しそうな女性」をイメージしたり、「社長」という言葉からは「年配の貫禄がある男性」を思い浮かべる、ことです。
無意識がゆえに完全になくすことは難しいですが、誰にでも「アンコンシャスバイアスがあることを意識」してみてください。そうすることで、自身の行動の選択肢を狭めたり自分の考えに固執して相手を否定したりしてしまうことから一歩踏みとどまってみたり、他の可能性を考えたりすることができます。
「カナダで生活する経験を通し、日本にあるアンコンシャスバイアスがジェンダーギャップを生み出しているのでは、と考えるようになった」と話すのは、弊社代表の小山です。高校・大学時代をカナダで過ごし、“父親・母親の姿や役割”に対する考え方が、日本とカナダで大きく違ったことに衝撃を受けたといいます。
小山「ホームステイ先のお父さんは、朝6時に家を出て、夕方5時には帰宅して夕食を作ってくれていました。子ども達との時間も充実していました。専業主婦のお母さんは、日中は子どもの送り迎えや家事など日々のTodoリストに追われとても忙しそうでしたが、夜お父さんが帰宅すると少しほっとできる時間を持てていたようでした」
そして、毎週金曜日の夜は夕食をテイクアウトして、家族で映画を見ることを習慣にしていたホームステイ先。お父さんとお母さんが協力しながら、家族で共有する時間を大切にしていたことを感じたといいます。
「周囲の共働き家庭でも、父親も母親も共に、育児家事をすることが当たり前。色んな家族の形があるけど、私がカナダで出会った家族はどこも、夫婦がお互いへのリスペクトが感じられる関係作りができていて素敵だなと感じました。」
帰国後、日本で就職し働き始め、周囲や自身の状況を客観的に見た時、カナダで見た光景とのギャップから違和感を持つようになりました。たとえば、子どもが病気をした時に「申し訳ない」と会社で母親が謝ること。母親が仕事をすることで、家族・子どもにも迷惑をかけていると罪悪感を持っていること。父親が平日、子どもと関わる時間が少なかったり、育休取得したいけど職場に迷惑がかかる、と諦めてしまっている人がいること。
小山「子どもを持つことも選択肢の一つという今の時代。だけど、なぜ仕事と子育てを両立をしようと思ったら、誰かに迷惑をかけてしまうという罪悪感や、仕事・家庭・自身がやりたいこと、何かを諦めないといけないと思ってしまうのだろう。そう疑問に感じ、ずっとモヤモヤがありました。将来自分は働き続けたいし、家庭も持ちたい。カナダで見たような、仕事も家族との時間も、自分がやりたいことも全部やれる方法はないのだろうか」
そうした想いが、LYLの事業がうまれる原点にもなっています。
―—人生の主役は自分 ‟どう在りたいか”を大事にする
LYLは、コーチングプログラムやコンサルティングを通し、個人のチャレンジを応援し、組織の成長へとつなげるお手伝いをしています。その中でも一人ひとりが「どう在りたいかを考えること」を、大事なメッセージにしています。
価値観も生活スタイルも皆違うのだから、完璧な一人のロールモデルはいない。自分の人生の主役は自分であるし、どうしたいのかをもっと大事にしていい。そこをしっかりと見つめてもらうと、長期的な視点で今何を大事にするかが見えてきます。
たとえば・・自動車製造業の技術職をしている女性のケースをご紹介します。
出産前は国内外の出張が多く、ほとんど家にいないような仕事中心の生活でした。逆に、出産後は「母親は家庭を一番に考えるべき」という自分の考えがある一方で、仕事をやりたい気持ちもありました。育休から職場復帰後、どのように働けば家族の時間も職場での関係も良く出来るのか。その解決策が見えずに葛藤していたといいます。
小山のコーチングを受けることで、「仕事と家庭は両輪。自分らしいワーキングマザーとしての働き方を見つけたらいい」と気づき、職場復帰後にどのように組織で力を発揮していきたいかを上司に提案ができたそうです。
この方のケースからも見えてくるように、知らず知らずのうちに、自分の考えが自分自身を縛っていることがあるのです。
「こうあらねばならない」や「こうすべき」が出てきたら、自分の可能性や選択肢を絞ってしまうアンコンシャスバイアスが隠れているかもしれません。そんな時は、ぜひ一度立ち止まって考える機会を持ってみてください。
「自分が、どう在りたいか」をイメージして、言語化してみる。そうすると「‟自分らしく”生きること」や「‟自分らしく”働き続けること」がみえてくるのではないか、とLYLは考えています。
―—「自分らしく働き続けること・生きること」は、組織の可能性をも広げる
一人ひとりが「こう在りたい」「こんな未来を創りたい」が見えてくると、目の前の仕事への向き合い方が変化し始めます。
その実現に向けて、「私は今の会社で自分らしく働きづつけるために、みんなとこんなチャレンジをしたい!」と周りの人に伝えることができると、社内で新たなコミュニケーションがうまれたり、共感し協力してくれる人がでてきてくれたりします。
そして、個人の想いを認め合い個性が発揮される風土ができてくると、主体的な動きや新しいアイデア、リーダーシップが生れやすくなるという組織の変化も起きてきます。
ひいては、年代・性別・スキル・健康状態・国籍・価値観などにおけるアンコンシャスバイアスにとらわれず、多様性を認め合い一人ひとりの力が発揮できる「真のダイバーシティ」が実現した組織につながっていく。個人が「自分らしく働き続けること・生きること」は、組織の可能性をも広げてくれるとLYLは考えています。
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LYL(リール)は、コーチング×コンサルティングで、企業課題を、個人(社員)と企業側と両方向から解決へと導くサポートをしています。D&I推進、女性活躍推進、リーダー育成、ウェルネスのお悩みはぜひLYLへ。詳しくはHPをご覧ください。