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【爆発】どうしても人目が気になる自意識過剰者2人、せきしろと又吉直樹のエッセイに爆笑&共感:『蕎麦湯が来ない』(せきしろ、又吉直樹)

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どうしても考えすぎてしまう「自意識過剰」の2人の日常や思考に共感しかない

「コンビニのコピー機の列に並べない」というエピソードに超共感

本書は、せきしろ氏と又吉直樹氏(どちらも、どんな肩書で紹介すればいいか悩む人ですね)の共著で、自作の自由律俳句と、日常を描くエッセイが載った作品です。

その全エピソードの中で私が最も共感したのが、せきしろ氏の「コンビニのコピー機」の話でした。

せきしろ氏は、コピーをしようとコンビニに行った時、誰かがコピー機を使っていたら、「私は待ってます」という風に並んだりしない、と言います。今コピー機を使っている人にプレッシャーを与えることになってしまうからです。だから店内で、さりげなくコピーが終わるのを待つのですが、そんな風にしていると当然、別の誰かがコピー機を使おうと並んでしまいます。そうなった時には、諦めて別のコンビニに行く、という話でした。

これ、私もまったく同じです。ホントにそっくりそのままで驚きました。

世の中にはもちろん、「コピー機を使っている時に後ろに並ばれても、あんまりプレッシャーを感じない人」もたくさんいるでしょう。だから自分が2番手の状況でも、悩まず後ろに並ぶことができる。でもせきしろ氏もそうでしょうし私もそうですが、自分がコピー機を使っていて誰かに並ばれた気配を感じると、凄く焦ります。これは、混んでいるATMや公衆トイレでも同じです。

後ろに並んでる人はたぶん、「早くしろよ」「遅せぇよ」なんて考えてないと思うんですが、どうしてもそう思われてるように感じられてしまいます。で、焦って、失敗して、余計時間が掛かる、みたいな悪循環に陥ったりもするんですよね。

せきしろ氏の「見られ方を気にする問題」には共感しかない

他にもせきしろ氏は、喫茶店での話を書いています。例えば、自分が今いる喫茶店が混み始めてきたとしましょう。せきしろ氏は、なんとなく人口密度の低い辺りを好んでいるようで、あまり混んでいない場所に移りたいと思うのですが、そこでこんなことを考えてしまうのです。

隣の人から、「私の隣は嫌なのか」と思われるかもしれない

まあはっきり言って、そんな風に思われるはずがありません。というか、誰もせきしろ氏のことなんか気にしていないでしょう。でも、本人としてはどうしても気になって仕方ないわけです。

これも、もの凄く分かるなぁ、と感じます。

私の場合は、電車の座席で葛藤することがあります。車両の乗客が乗り降りを繰り返すことで、「自分が座っている側は密集してるのに、向かい側は空いてる」なんていう状況になったりするでしょう。そういう時に、「車内のバランス的にも、自分の気分的にも、向かいの座席に移った方がいいよなぁ」と思うんですが、しかし同時に、「ここで座席を移ったら、隣に座っている人を嫌な気分にさせたりしないだろうか」とも考えてしまうのです。

で、一瞬でもそんな躊躇をしてしまうと、席を立つタイミングを逃すことになって、結局そのまま座り続ける、なんてことになってしまいます。

自分でも当然、「隣に座っている人が私のことなんか気にしてるはずがない」と頭では理解してるんですが、それでも躊躇なく行動に移すのが難しいんですよね。だからせきしろ氏の話にはもの凄く共感できます。

せきしろ氏は、

私は人目を気にしてばかりいる。(中略)
それでも気にしすぎであることには変わりなく、それはもう子どもの頃からずっとなのである。親に喜ばれようとか、先生に楽しんでもらおうとか、友達に驚いてもらおうとか、絶えずそういうことを考えながら行動し、わざと失敗することもあれば、あえて変わったことを口走ったりもした。

と書いていて、これも凄く分かるなと感じます。私も、「他人からどう見られるかコントロールしよう」みたいな意識が常にあって、「今は失敗した感じにする方がいいかな」とか「ここでこういう発言をすると変わった人って思ってもらえるだろう」みたいなことを結構考えてしまうんです。そういう自分にはもう慣れましたが、やっぱり自分でも時々「めんどくさい性格だよなぁ」と思ったりします。

寿司屋でせきしろ氏が目撃した女性の話

また、寿司屋で目撃した出来事も、凄く理解できてしまいました。それはこんな場面です。

せきしろ氏は知り合いの女性と回転寿司を食べに行きます。職人が連れの女性に「わさびは大丈夫?」と聞いているのですが、その口ぶりから、どうやら職人はその女性の年齢を相当年下に見ていることが分かりました。女性は童顔で、実年齢には見られないことが多いだそう。そんな職人の「勘違い」を理解した彼女の返答について、せきしろ氏はこんな風に書いています。

これ以降は、ブログ「ルシルナ」でご覧いただけます

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