【肯定】社会不適合者こそ非凡。学校・世の中に馴染めなかった異才たちの過去から”才能”の本質を知る:『非属の才能』(山田玲司)
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才能は、“どこにも属せないという感覚”のなかにこそある
「非属」というキーワード
この作品の核となる考え方は、見出しにもした通り、
です。本書はまさにこの点について、徹底的に主張していきます。
そして、「どこにも属せない感覚」を、本書では「非属」と呼んでいるのです。
「どこにも属せない感覚」を、私は昔から強く感じてきました。家でも学校でも職場でも、「この場/人たちとは上手くやれないなぁ」という感覚を抱いてしまうことが多いです。ごく稀に、自分の感覚と非常に合う人と出会えることもあるので、結局のところ、自分の価値観や考え方がもの凄く少数派ということなんだろう、と今では理解しています。
周囲と馴染めない時、自分が悪いんだと感じてしまうことの方が多いと思います。それで、コミュニケーションが上手く取れなかったり、引きこもったり、死んでしまいたくなったりするのです。その気持ちは、私もとても良く理解できるので、そう感じてしまう人には是非、本書を読んでほしいと思います。
何故なら、「どこにも属せない感覚」こそが、他人と一線を画す”才能”の源泉だと、著者は主張するからです。
なぜそんなことが言えるのか。それは、著者がこれまでに数百人以上の著名人にインタビューをした経験があるからです。
著名人の「非属」エピソード
著者はこれまでに、様々なトップランナーにインタビューをし、それを漫画にして発表してきました。その中で、大成功を収めている者たちの過去の「非属」エピソードを知り、自身の経験も踏まえた上で、「どこにも属せない感覚こそが才能の源泉だ」という考えに行き着くことになります。
例えば、爆笑問題の太田光や大槻ケンヂは、学校に1人も友人がいなかったそうです。お笑い芸人のほっしゃんは、高校の3年間で5分間しか喋りませんでした。研究者であり小説家の荒俣宏は、15歳にして女性と付き合う可能性を100%諦めて研究に没頭、漫画家の井上雄彦は、小学校のクリスマス会を「自主参加でいいですよね」と言ってサボったなど、様々なエピソードが出てきます。
これだけではなく本書には、他にも随所に著名人のエピソードが散りばめられています。そのどれもが、「当たり前」とか「常識」に違和感を抱き、自分の感覚を信じて貫き通した話ばかりです。いかに同調圧力に屈しないかという点で、彼らは共通していると言えます。
もちろん本書を読んだ人からは、「都合のいいエピソードを集めただけだろう?」という批判が出るだろうとも思います。確かにそうかもしれません。ただ、別にそうだとしてもいいじゃないか、と私は感じてもいます。
「非属」であれば誰でも成功できる、なんてことはもちろんないでしょう。しかし、「非属」だからダメなんだと、スタートラインにも立たずに諦めてしまうのはあまりにもったいないと感じさせてくれる作品だと思います。
「どこにも属せない感覚」を持っていると、自分が悪いという感情を抱きがちです。しかしそういう時に、「非属」こそが才能の源泉なんだ、と言ってくれる人がいたら、違った未来の可能性を見ることができるかもしれません。本書や本書の主張は、そういうものとして受け取られるといいなと私は思っています。
著者のメッセージ
この記事では、様々に著者の主張を紹介していきますが、まずは著者の主張が凝縮されていると感じる文章を引用しておこうと思います。
非常に明確なメッセージだと思います。
今の社会は以前より、様々な考え方・価値観・生き方が認められるようになっていると思います。しかし一方で、インターネットやSNSなどで「多種多様な”常識”」が可視化されることによって”常識”が細分化し、そのせいでさらに溝が深まっている、ということもあるのではないかと感じます。
大人になれば、より広い視点で社会全体を見回し、様々な価値観を知った上で総合的に判断できるので、そういう意味では、現代社会はかなり多様な生き方が許容されていると言えるかもしれません。しかし一方で子どもは、情報が偏りがちで、広い視野も持てず、親や教師の考えに強く影響を受けてしまうので、以前よりも多様性を確保しにくい時代と言えるのではないでしょうか。
だとすれば余計に、子どもたちの置かれている状況は辛いだろうと感じます。
自分が子どもの頃に、こんなことを言ってくれる人が周りにいてくれたら良かったなと今でも思います。そうだとしても劇的に人生が変わったとは思えませんが、それでも、もう少し違う道もあったのかもしれないと、時々想像してしまいます。
同調圧力という巨大な敵
著者は、「非属」こそが才能だと主張する中で、日本社会における「同調圧力」の強さにも警鐘を鳴らしていきます。
これ以降は、ブログ「ルシルナ」でご覧いただけます
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