【人生】仕事がつまらない人へ、自由な働き方・生き方のための「月3万円しか稼げないビジネス」指南:『月3万円ビジネス』
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「月3万円ビジネス」と「お金・エネルギーを使わない生活」がもたらす「豊かな生活」とは?
本書は、「非電化冷蔵庫」や「非電化除湿機」など「電気を使わない非電化製品」を多数発明している著者が提案する、「これからをどう生きていくか」の指南本です。そしてその中心に、「月3万円ビジネス」があります。これは、「月に3万円しか稼げないビジネス」のことです。
リモートワークが当たり前になったことで地方に居を構える人が増えてきたり、SDGsの呼びかけが盛んになってきたりと、生活を取り巻く環境は大きく変わっています。しかし当然ですが、生き方を変える提案は今に始まったことではありません。本書は、新装版の発売こそ2020年ですが、元の本は2011年に発売されました。そんな時期から「環境に負荷を与えない」「地方でいかに生きるか」などの視点を発信し続けている方の本というわけです。
著者の考え方のベースになっている、「お金もエネルギーもなるべく使わない生活」の豊かさ
本書は「月3万円ビジネス」を具体的に紹介する作品なのですが、その考え方の背景には、「著者の『現代社会』に対する問題意識」があります。それは、こんな文章に要約されていると言っていいでしょう。
よほど自給自足に近い生活をしている人でもない限り、都市部か地方かに関係なく、日本に住んでいる人は大体このような生活をしているでしょう。そしてそれは日本に限らず、世界でも同じです。お金を払ってエネルギーを浪費し、様々な形で環境に負荷を掛けることで社会が成り立っています。
ただ一方で、私たちはもう「そんな生活をずっと続けているわけにはいかない」ことを理解しているはずです。私は特段環境問題に詳しいわけではありませんが、通り一遍の知識は持っているつもりですし、また、映画『グレタ ひとりぼっちの挑戦』を観たことで、改めて現状の厳しさを理解し、何かしなければならないという気持ちにもなりました。
とはいえ、現在の便利な生活を手放すこともまた非常に難しいでしょう。電気・ガスなどのエネルギーを大量に消費することであらゆる便利さを享受できる環境を、敢えて手放したいと考える人はなかなかいないはずです。
そういう中で、著者の「月3万円ビジネス」をベースにした生活の考え方は、「お金・エネルギーを無理なく生活から減らしていく」という1つのモデルケースになるのではないか、と私は感じました。著者は、「収入をどう得るか」について本書に書いているわけですが、さらに「支出をどう減らすか」についても触れています。「便利だから」と様々なものを消費するのではなく、「支出を減らす過程を楽しむ」という発想を持ってもいいのではないか、というわけです。そして、そういう生活スタイルそのものが、「収入」である「月3万円ビジネス」の発想にも繋がっていくようなサイクルが理想的なのではないか、と書いています。
SDGsという大きな目標に対して、全体をドラスティックに変えることはなかなか難しいでしょう。ただ、自分の周りで変化を起こすことで、小さな社会システムの構築に注力することは出来るのではないかと著者は書いています。イメージとしては、『鉄腕DASH』でTOKIOがやっていた「DASH村」でしょうか。参考にするには「DASH村」はレベルが高すぎますが、しかし「自分たちで作れるものは作り、作る過程そのものを楽しみ、作ったものが余れば周囲と共有する」というスタンスは、まさに本書が提案する生活スタイルそのものだと感じます。
そして、「そういう生活の延長線上に『月3万円ビジネス』がある」と考えることが非常に重要なのです。
「少しでもたくさんお金を稼ぐために複数の仕事をする」という発想ではまったくなく、「生活スタイルの中から『働き方』が自然と決まっていく」ようなものとして本書では「月3万円ビジネス」を紹介しているというわけです。
「仕事はお金を稼ぐためのもの、そして稼いだお金で好きなように生活する」という生き方も良いと思いますが、本書では、「仕事をすることと生活することが不可分であるような人生」が提案されている、というわけです。農家が多かった時代には割と当たり前だったはずの生活スタイルを、現代的な価値観の中にどう組み込んでいくかを突き詰めているとも言えるでしょう。
本書は、「どうお金を稼ぐか」ではなく「どう生活するか」という観点から「仕事・働き方」を捉える作品だというわけです。
「月3万円ビジネス」の具体例や注意点
本書では、「月3万円ビジネス」の実例やその実践事例、特徴、注意すべき点などが作品全体のメインになります。実例については是非本書を読んでほしいので、ここでは2つだけ紹介しましょう。ちなみに本書では、著者が主催する「地方で仕事を創る塾」の塾生が行ったブレインストーミングで出てきたアイデア段階のものも掲載されており、実際にビジネスとして実現しているとは限りません。
1つは「高級マタニティウェアをシェアするビジネス」です。妊娠中しか着ないという性質上、「マタニティウェア」は必要とされる期間が限られてしまいます。今の時代であればメルカリで売ってしまうという人も多いでしょうが、「高級なマタニティウェアを借りて着る」という発想も成立するでしょう。このビジネスは実際に行われ、成り立っているのだそうです。
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