
散歩は最強の思考ツール
自分が毎日どれくらい歩いているか知っていますか?
私はテレワークが普及する前から通勤が人生で最も無駄な時間だと思っていたので、会社の目の前に家を借りていた。どれくらい目の前かと言うと、有給を取って家にいた時に、私の部屋と反対側で火災が起き、それを会社の窓から見た上司が慌てて私に電話をかけてきたくらい、目の前である。
それでもなんだかんだ毎日6000歩前後は歩いていた。ただ出産を機に、歩数は激減。

そしてコロナの影響で歩数が劇的に改善することもなく、テレワーク下で仕事復帰。朝保育園に連れて行くのは夫の役目だったので、私は夕方家から保育園を一往復するのみ。買い物も牛乳と納豆以外は全てポケットマルシェとAmazonで購入しているので、寄り道もしない。週末のどちらかは家族で出かけるので、一週間の歩数分布はこんな感じ。

往復していないレベル…
昼間のワイドショーでも、健保から送られてくる雑誌でも「歩くことは大切です」「1日1万歩を目指しましょう」と言っている。でもそんなに歩かなくたって、家で毎日1時間くらいトレーニングをやっているから問題ないだろう、と思ってかれこれ3年以上こんな生活をしていた。
ところがある日、勝間和代さんが「毎日1万歩1年間歩いたら得られた衝撃の効果」というYouTubeを聴いて、少し考えを改めるようになった。
このYouTubeの要点をまとめると…
1年間毎日1万歩歩いたことによって
・体重減少は2kg程度だったが、ウェストが格段に細くなった(Sサイズでも落ちてくるくらいブカブカに)
→内臓脂肪が落ちたので、万病の予防にもつながる
・難なく1万歩を歩ける体力がついた
→今まで車で通っていた場所も電車&歩きで行ったり、ゴルフの18ホールが楽々に
・セロトニンが分泌されて心が落ち着くようになった
→カフェイン、アルコール、ニコチン等が不要に
勝間さんはもともと日々5000歩〜7000歩は歩いていたそうだけれども、7000歩と1万歩の間の3000歩が肝らしい。
ただ平日は1500歩も歩かない私が急に1万歩歩くと却ってダメージを負うことになりかねない。そこで一旦歩数ありきではなく、とりあえず毎日散歩の時間を作ってみることにした。

我が家は平日もアラームはかけずに、子供が目覚めて「朝だよ〜!起きて〜!」と言うまで寝ているスタイル。ただ19時にはベッドに入る子なので、自然に任せても毎朝だいたい6時半にはこの号令がかかる。週に2日ほどは6時前に起き出すので、そういう日はさっと着替えて子供と2人「夜のおさんぽ」と称して(普段17時以降は外に出ることがないので、日の出前は夜と思っているらしい)、早朝の街を散歩するようにした。
早朝の「夜のおさんぽ」ができなかった日は、仕事の合間を見て特に目的なくブラブラ歩く。最初は手持ち無沙汰になるに違いないと思っていたのだが、散歩は以外と集中力を使うことに気がついた。
信号や車の往来はもちろん、いかに肩を引かずに人とすれ違えるか意識したり、普段は通りすぎるお店の看板を読んでみたり。あれやこれや気を配りながら歩いていると、いつの間にか視界に入ったものから派生して、夜ごはんの献立が決まる。noteのネタが湧く。ちょっとしたビジネスプランが浮かんでくる。知らず知らずのうちに脳が研ぎ澄まされて、忘れていたことを思い出したり、普段考えるのに時間がかかっていることがスムーズに決められたりするようになった。
家のソファでも考え事はできると思っていたが、ソファに座ると、無意識にながら作業をしてしまう。横に積まれた洗濯物を畳んだり、録画していたドラマを再生したり、さっき見たばかりの明日の天気予報をスマホでまた開いたり。するといつのまにか考え事をしようと思っていたことすら忘れてしまって、結局ドラマを見ながら洗濯を畳んで通知音が鳴ったらスマホを開いていて、考えようと思っていたことは1mmも進まないまま。
歩いていると、適度な集中力を要すると同時に、ちょうどよい余白が脳に生まれる。すると無意識に頭の隅に溜まっていた考えることリストが引っ張り出されてきて思考が進む。考えるべきことや悩みなんて何もないと思っている時でさえ、黙々と歩くと頭の奥の方に蓄積されていたものごとが出てきて、気づくと思考が始まっている。おそらく毎日何かに忙殺されている私たちは、考えるべきことがあるということすら忘れているのだ。
よく経営者はランニングの習慣があると聞くが、手っ取り早く汗をかきたいならランニングも悪くないかもしれない(だから時間のない経営者は走っているのかもしれない)。ただ走ると、走ることに精一杯になるし、すぐに疲れてくるので思考は捗らない。ましてやコンクリートの上を走ると関節に響くし、皮膚も(女性は胸も)垂れて、デメリットもかなり多い。
健康のため、くびれたウェストのため、ブログのネタ探し。理由は何でもいい。とりあえず上着だけ着て外に出てみてほしい。きっと散歩が最強の思考ツールであることが分かってもらえるはず。