「白い長袖シャツの誇り」詩―青プラ文学部「第3回変態王決定戦」企画応募作品
岡山の 田舎の夏は
稲田を渡ってくる風の
緑の匂いが 心地よい
おじさんは 一年中
長袖の 白いシャツを着る
夏でも 半袖は着ない
ボタンを 必ず一番上まで 止める
夏 おじさんと 手を繋いで歩くと
手のひらは 汗で湿めり生暖かい
頬には 汗の筋が 流れる
「どうして 半袖着ないの?
おばさんに 買ってもらえば??」
僕は いつも 聞いた
「ワシャ 兵隊じゃけんな。
これで エエんよ」
おじさんの答えは
まるで テープレコーダー・・・
「兵隊だ」といって 濃いい眉を
キリッと上げる
不味い 料理も 黙々と食べる
「おじさん これ美味しくない」と僕
「ケンちゃん 兵隊は 贅沢はイケン(ダメ)よ」
おじさんの 心には
戦争が終わった 今も
満州の 広い荒野を進み
口元を キリリと結んだ
若い兵士の 自分が住んでいる
村の人たちは
「あん人は 変わりもんじゃけん。
おえりゃあせん(どうしようもない)」
「変人 変態だわなぁ」と
陰で ボソボソ
でも おじさんの
長袖 白ワイシャツの
兵隊心は 決してゆるがない
その心根を 知っているのは
おじさんの肩に 時折 ポッチッととまる
トンボだけかもしれない
山根あきらさんの青プラ文学部
「第3回変態王決定戦」企画に応募しました
おじさんの 生涯変わらなかった
心根を 書いてみました。どうぞよろしく
お願いいたします
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