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「おばあちゃんのいきざま」―#青ブラ文学部#内なる声に従って

山根あきらさまの企画に参加させて頂きます。
山根様どうぞよろしくお願いいたします

題「おばあちゃんの いきざま」

おばあちゃん子

ボクは とても おばあちゃん子だった。
母さんが 居ない時は
必ずおばあちゃんの部屋で
遊んでもらってた。

おばあちゃんは、もう85歳を
超えていたがとても元気で
頭もしっかりしていた

二人だけの時、昔の我が家の祖先の話を
長々としてくれ、
「それにしても 我が一族は 落ちぶれた。。」
といって 一人で 暗い顔をする。

「お父さんには 出来なかったけど
坊やは 大きくなったら また
この家を もりたてておくれね」と
眼鏡越しに 真面目な顔でいう。
ボクは とても無理 無理と
いつも首を横に振る

おばあちゃん入院

数年後 おばあちゃんは体が
少し弱ってきた。ある日散歩をしていて
道に蹲(うずくま)ったまま立てなくなった。
急いで 救急車で 病院に運び込まれる。

医師は「心臓がとても弱っており
不整脈がひどい。このままだと
1~2ケ月しか 持たないかもしれない」と
病院の廊下の床を みながら告げた

昨日まで あんなに元気で
家の掃除、お昼ご飯づくり、近所の
コミュニティ参加もしていたので
家族は だれも信じられない。
休めば 治る病と思っていた

バアバ 大好きだよ

治療方法はなに?

「何とか 治す手立てをうとう。
医者は 心臓ペースメーカを埋め込むのが
一番有効だといってる」と父。

「もっと 専門の病院を紹介してもらって
そこで 手術すれば 助かる可能性があがるわよ」と母。

「もう 絶対に治してあげようよ。心臓移植してもらえば?
お金いくら かかってもいいじゃん」とお姉ちゃん。

家族の話し合いは それぞれ 別の川の流れのように
まじわることなく、夜中まで続く。

「おい 坊主 おまえずっと 黙ってるけど
何か 意見ないのか?」と父。

ボクは 思い切って 内なる声にしたがって
口をひらいた。

「おばあちゃんは このまま旅立たせてあげた
ほうがいいよ」

「え~」 「何バカなこと言うの」「 この薄情者」
「家族を みすてるのか!!」
家族からは 非難の矢じりが 無数に飛んできた。

おばあちゃんの潔さ

「おばあちゃん いつも ボクにいってた。
“自分は士族の娘だ。だから戦場と同じで
どこかで 倒れたら それが定命。
倒れたら もうおじいさんのいる
あの世に 行く時なんよ。“」

家族は しばらく 沈黙してた。

おばあちゃんは 繰り返し同じことを
ボクに話してくれてた。 
ただ 他の家族には決して 言わなかった。
いえば 呆れられて、笑い話にされて、
反対されるのが、わかってたから。

沈黙のあと、家族から正論が 
延々と ボクにぶつけられた。
ボクは「情けしらずな
不義理な孫」というレッテルをつけられた

「今は 21世紀なのよ。士族がどうのこうの
なんて ドラマの見過ぎよ」

「今の医療で 出来るだけのことをしてやる!
それが 家族ってもんだ」

「助かるかもしれない方法が 残ってるんでしょ。
だったら それやろうよ。それも考えずに、
ほんと お前は 薄情な孫だね」

翌朝 6時過ぎ 病院から至急の呼び出し
電話が来た
かけつけると おばあちゃんは すでに
青いやすらかな顔で 旅立った後だった。
結局 だれも 最後に間に合わなかった。

誰もが 顔をくちゃくちゃにして泣いた。
ボクは うっすら涙を こらえて
窓の外の空を みあげてた。

ボクには ちゃんとわかっていた。
おばあちゃんは きっと 昨晩の家族会議を
ずっと 見ていて、
だからこそ 自分の流儀での
死出の旅を 急いだのだろうことを。

{おばあちゃん 天国で 士族に戻って
お城勤めを してるのかな??
士族の妻女として、立派な最後だったよ}
{こんな弱虫でも 士族の孫になれるかなぁ。。}

ろうそくの灯は 無理無理と言って揺れてるみたい

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#おじいちゃんおばあちゃんへ

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立山 剣
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