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「どげん しょーとるなぁ?」―詩―

秋空は 高く 遠く 湖色に広がる
雲は 風の吐息のように 千切れながら
言葉を忘れた 老人のように
オサオサと 流れていく

陽だまりの 猫は
前足で 銀色の髭を
梳かし 毛並みを光らせ
隣り家の おしゃれ猫さんが
ツイと すまして
家から 出てくるのを
辛抱して 欠伸して待っている

土手で遊ぶ 子どもたちは
もう 山に帰ってしまった
夕焼けトンボを 呼び戻そうと
破けた網を 何度も
おおきく 振り回す

家に 灯りが灯る頃
電話が 大きな音で鳴る
「こんな時間に・・・」と思いつつ
受話器を取ると
「どげん しょーとるなぁ?」と
岡山弁が 湯呑から 溢れるように
流れてくる

秋の 一日は なかなか 
幕を 降ろさない

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