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「琥珀色の悲しみ」―詩―
電車とバスを 乗り継いで
昔の時間の影と 一緒に
また この街に降り立った
当時と 少しも 変わらない
住む人が 見知らぬ人となり
君が 横に いないだけ
紅葉が いろどる 並木道
二人の お気に入りの 小さなカフェは
古びたベージュの シェードを 揺らして
お久しぶりねと 会釈しているようだ
![](https://assets.st-note.com/img/1729938368-tnTevRICGq1ZQkXm4Yx7uOSA.png?width=1200)
丘の 坂道を登り 振りかえる
ブルーサファイア色の 光る海
沖合に 大きな客船
君を乗せて 知らない国へと
旅していくのか・・・
坂の 途中の 地味なレストラン
窓際で 水彩画のような
町の風景を 二人で 飽きずに眺めた
君の 前髪をかきあげる癖を
自分の指も 覚えている
街の 目抜き通りは
路面電車が 海風に手を引かれ
コトコトと走り
花屋は 店先に秋を並べ
人の波は ざわめき 楽し気に
行き交う
![](https://assets.st-note.com/img/1729938471-tklFcidUvNLeM9hEYwHBoV6Q.png?width=1200)
電車は 見覚えのある
神社の鳥居の前を ノロノロ走る
二人で 暮らした
アパートが 見えた
緑の屋根は 色が薄れたが
風見鶏は 元気そうに 回わり
白い壁は 灰色に変わっている
錆びついた 心の扉をあけて
小声で つぶやく
「さよなら・・・ ありがとう」
ようやく 君に言えた 別れ言葉
悲しみは コーヒーに垂らした
ミルクのように 際限なく 広がり続け
君が よく着けていた琥珀色の
ペンダントのように ぼやけて
立ち去らない
ボクの思いは カップの中で
ゆるゆると 回り続ける
(2022年作品のリライトです)
![](https://assets.st-note.com/img/1729938614-SvkBQurtwm0qMG2yUPhZzFN7.png?width=1200)
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