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最近の記事

やっぱり分かり合いたいんだ |『我々はどのような生き物なのか ーソフィア・レクチャーズ ノーム・チョムスキー』 福井直樹・辻子美保子

『無色の緑色の考えが猛烈に眠る』 チョムスキーとの出会いは「人間ってナンだ? 〜超AI入門〜」という、人工知能が理解する会話のセンテンスについて解説していたテレビ番組からふと聞こえてきた、違和感たっぷりのこの一文からでした。 この言葉は、哲学者、言語学者、認知科学者、論理学者など様々な肩書を持つチョムスキーが、文法的には正しいけれども意味をなしていない文の例えとして、文法の構造を説明する際に用いた Colorless green ideas sleep furiousl

    • これはもう、恋文 | 『宮沢賢治』 吉本隆明

      吉本隆明さんは言うのです。 『言葉でつづった作品にはかならず意味がきっとつきまとって』いると。 だとしたら、宮沢賢治が語る言葉につきまとっているほんとうに伝えたい「意味」とは、いったい何なんだろう。 宮沢賢治の作品を楽しむ醍醐味は、そんなことを考えながら賢治の視線と同化して、自分なりにその答えらしきものを見つけだすことかもしれません。 「らしきもの」と書いたのは、宮沢賢治本人にはやっぱりなれないわけで、でも、少しでも彼が見た世界に触れたくて、それぞれの人の中にそれぞれの

      • 世界に触るってこういうことかもしれない |『えいやっ!と飛び出すあの一瞬を愛してる』 小山田咲子

        序文に、作家で演出家の鴻上尚史さんがこのように寄せています。 『本当に惜しい。胸張り裂けるほど惜しい。』と。 この本は、元 andymori の小山田壮平くんの姉としても知られる小山田咲子さんが2002年から2005年までの4年間に書いたブログをまとめ書籍化されたもので、鴻上さんの言葉は、アルゼンチンへの旅行中、同乗していた車の横転事故により、24歳になったばかりの才能溢れる彼女の未来が突然この世界から失われてしまった、そのことへのやるせなさから発せられた言葉なのだと思いま

        • 重力から解放されるような言葉たち | 『えーえんとくちから』 笹井宏之

          短歌を『短い詩』と表現する笹井宏之さんの、おまじないのような祈りのようなタイトルの歌集『えーえんとくちから』。 永遠なんてないことを知って、こどもみたいに泣けたならどんなに楽だろうか。 そんなことを思いながら一年くらい手にせず、最近ようやく読むことができた。 そして、思った。 笹井宏之さんが紡ぐ言葉には「青」が似合う。 海の底のようなどこまでも深い青。 透き通る水のように光を含んだ青。 ミルクをスプーンで少しだけかき混ぜたようなマーブルの青。 厚い雲の隙間からのぞく憂鬱

          本の話をはじめます | はじめてのnote

          読んだ本の紹介をするということは、自分の心の在り様をオープンにすることと等しいので、気恥ずかしさがあります。 積み重ねてきた読書経験は少なからず今の自分の血肉となり、思考や行動や言動の端々に現れてしまうものだと思うので。 裸を見られる? いや、レントゲンに映し出された骨格とか血管をチラ見された感じに近いのかな? だけど、心を動かされる本と出合った経験がある方なら、この出合いを誰かと分かち合いたいという感情にも覚えがあるのではないでしょうか。 私も多分そのひとりで、気恥ず

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